コラム『とある地域の福祉について』

@kaigo

特養における企業内保育の問題

 特養内に企業内保育所が開設されるという記事を読んだ。0歳から5歳児を年中無休で、それを地域にも開放するそうだ。これだけを聞くと、とても良い活動に見える。従業員確保の観点からも、地域の待機児童問題においても、一つの解決策に思えるわけだ。

 ただ、それを運営する社会福祉法人は過去、かなりあくどい運営を行っている事で有名だった。

 そこで勤めていた保育士の話を纏めると、認可保育園において、市役所からの監査が入る時は必ず、園長の母親が乳母車で預かっている園児5人程度を自分の寺へと連れて行くらしい。当然ながら、それは今の姫路の子ども園でも話題になっている定員以上に預かっている園児だ。

 さらに園長の弟がまだ、保育園の経営に関わっていない頃、自分でやり出した会社で荷造りや棚卸といった作業を園児のお昼寝中に保育士に手伝わせるといった事もさせていたらしい。全ては30年近く前の話だが、保育士繋がりで聞くと、似たようなことは今でも行われているらしい。

 最近では介護施設なども併設するようになり、それらの施設が徒歩5分以内に全て、集められる不自然な配置なのだ。勝手な想像になるが、多分、人材に使い回しを前提にした構えなのだと邪推する。

 例えば、特養やデイサービスの生活相談員なら、保育士の資格でもなれる。生活相談員は専従職員なので、常にいないといけない。だが、近くの保育園の保育士の名前を登録しておけば、勤めていなくても、勤めている事にする事は可能となるし、監査の時に本人を指摘されても、徒歩5分なら、すぐに来れるわけだ。

 そもそも、介護保険施設の場合は県が監査する。保育園は市が監査する。監査する主体が違うので、その人物が保育園にも介護施設にも重複して登録されているなんて、解らないのだから。それも含めて、事務の統合なども考えると、かなりの人件費をカットしていると思う。

 昔から、職員の定着率は悪かったが、昨今はそれがさらに悪化していると思うので、上記のような企業内保育でもしないと、若い介護職員の働き手を確保が出来ないのじゃないかと思う。だが、そこで働く保育士もまた、使い回し人員では無いかと心配するのだった。

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