つけ打ち。ようやく、お役目の正式な呼称を知る事が叶いました。
つけ打ちの人間国宝に弟子入りした東山トビオ。
歴史ある京都を舞台に、歌舞伎の世界やその用語、観光地にまつわる解説も織り交ぜながら進む話には、
素直ではない兄弟子に翻弄され、苦手な犬に居場所を追われ、役者のいたずらにはまり、舞台から離れながらも、自分のつけ打ちの音を模索する姿は、支えるべくして世界に引き寄せられた、東山トビオと言う登場人物に集約されていたと思います。
才能とは一味違う、舞台の神様に愛され、見放されない積み重ねが報われた読後感は爽快でした。
こうして、文化は連綿と受け継がれ、未来に確実に残される事を実感できる物語です。
比べても、努力しても手には入らないものもありますが、
東山くんは手に入れる事が出来て、本当に良かったです。
今は多くの手段で海外にも発信する事が可能です。素晴らしい日本の文化が正確に多くの方々の芯に届いてくれる事を願います。
素晴らしい物語を、ありがとうございました。