やまない雨

@aki0718

第1話 やまない雨

「この雨はいつ止むのだろう。」

やむことを期待している訳では決してない。

雨が降っていることに興味がある訳でもない。

むしろ、好きに降ればいいと思っている。

もはや全てがどうでもいい。

「空っぽだ。」

今日は僕の感情が消えた記念すべき日だ。

何もかもなくなった記念すべき日だ。


雨は降り続いている。

豪雨だ。

風はほとんどない。

ただただ冷たいものが身体にぶつかってくる。

僕とは対照的に、

まるで空が感情をむき出しているかのように感じる。

そんな空を見上げて、

「お前の方が人間っぽいな。」と馬鹿にしてみる。

馬鹿にしたところで何も起きない。

空にも相手にされない。

「ははは。」

笑ってみるが感情はない。

全くの無だ。

涙なんか出ない。

自分がナニモノなのかわからない。

「俺ってなにがしたいの。」

「俺ってだれなの。」

「俺ってどうしてここにいるの。」

「俺ってなんで生きてるの。」

「俺ってなんなの。」

今日1日だけでも

何度心の中で自問自答したことだろう。

そして、

行き着く答えは

「あ、そっか。ゴミか。」

「ゴミなんだから、仕方ないよな。」

「ゴミなんだから、こんなんなんだな。」だ。


でも、

これは、

今急に思いついた答えなんかじゃない。

これは、

小さい時から積み上げてきた答えだ。

今思い返しても、

思えばずっとゴミだった。

ゴミに生まれてゴミのように育ってきた。

それなら、

こんな人間と比べるのは

ゴミにも失礼だな。


ゴミも

今はゴミとして棄てられているけれども、

輝いている時はあった。

僕にはそれがない。

今はゴミでも、

必要とされている時期はあった。

僕にはそれがない。

今はゴミでも、

大事にされている時期はあった。

僕にはそれがない。


今はなぜか

過去の記憶が思い出せない。

大事にされてた時期ってあったっけ。

輝いていた時期なんてあったっけ。

そもそも、

「大事にする」ってなに。

「楽しい」ってなに。

「頑張る」ってなに。

「信じる」ってなに。


「生きる」ってなに。。。


、、、、。

実は、

自分が「ゴミ」である

の他に、もう一つの答えが出てくることもある。


「人間のようなナニか」である。

自分は人間の形をして生まれてきた。

人間として周りに合わせて、生活してきた。

背の高さも周りと同じように伸びてきた。

そして、今までもそうして活動してきた。


でも、

ずっと違和感は感じていた。

ずっと違和感を感じて、生活してきた。

違和感の正体は、全く分からなかった。

そもそもそんなに気にもしていなかった。


もし、自分が、

周りの人、人間とは

違う生き物であったのなら。

その違和感も受け入れられる気がする。

いや。

そうでなければ、

この現実を受け入れられそうにない。


僕は人間になれなかった、

人間のようなナニか。

ずっと周りの人がうらやましかった。

ずっと周りの人のように生きたかった。

小さい時からずっとそうおもってきた。

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