第19話 1日の終わり
「ただいまー。」
「おかえりー。
二人とも遅かったね。
夕食できてるよー。」
姉の声だ。
時計を見れば、もう七時を回っていた。
僕は僕の部屋へ行って着替え、リビングへ戻った。
リビングには姉と、いつも通りアイパッドと睨み合いを続ける和也さんがいた。
そこで僕は意を決して言う。
「ねえ、姉さん、ちょっといい?
なんかさ、いつか、料理とか裁縫とかその辺教えてくれない?」
と僕は言った。
「ん?
いいけど、なんで?」
「いや、今日の昼休みに気づいたんだけどさ・・・。」
そうして僕が昼休みの時体験したことを話した。
「つまり、女子力を上げたいってこと?」
「まあ、そうなるね。
私の正体がバレないためにもね。」
そういうと、姉はふーん、と言った。
「それじゃあ、いくつか家事のお願いもしようかしら。
あと、次の土曜日が日曜日に、可愛いお弁当の作り方でも教えようか?」
「ええと、可愛いお弁当じゃなくてもいいんだけどね。
ま、姉さん、ありがとう。」
それと、言っとくけど、女子力を高めたいのは僕の正体がバレないためだけであって、僕が女子としての生活に慣れたから、ではないからね。
そんなことを考えてるうちに食べ終わり、風呂に入る。
『それにしても、風呂も慣れましたねー。』
『ん?そうか?』
『はい。昔より、体を洗う手際も良くなったと思います。』
そうなのか。
三人称で僕の風呂を見たことはないから、よくわからないけど。
ま、そうして僕は風呂でマッタリしている。
ちなみに湯船に入ると魔力の回復が早くなる。
どういう原理かは知らん。
「あ!そうだ!」
そうして眠くなっていたら、あることを思い出して湯船で立ち上がっていた。
「スマウォ!」
スマウォにみんなを追加するのを忘れてた。
菊池悠斗との戦いのせいですっかり忘れてしまっていたな。
そうして僕は手際よく体を拭き、ドライヤーをかける。
だが、いくら手際よく風呂から出ても、風呂から入ってから一時間ぐらいの時間がかかる。
まあ、もう慣れたが。
崇人だった頃は風呂はこの四分の一から三分の一の時間で済ませてたんだが。
---こうして僕の1日が終わった。
勇者は勇者をやめたあとも世界を救います~~聖女になった勇者による元魔王や悪魔神との同棲生活!? 有栖川結城 @gotsugo-shungiku
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