2 第2部『聖エルザクルセイダーズII 激動!』
〈インターリュード「恵利ちゃんの編み物日記」―― Eri's Secret Diary〉
チクリンがオトシマエの秘密の日記をこっそり読者に公開する。強靭でグラマーな肉体美を誇り、中学時代にもう全日本女子空手で優勝したという彼女には、編み物という〝らしくない趣味〟があった。その実態がついに明らかに……。
※ ※ ※ ※ ※
夏の制服に衣替えとなった日、一人の女生徒が更衣室で襲われる事件が発生。そこに忍び込んでいたコックリと三バカが犯人と間違われるが、姫の機転でなんとか正体がバレずにすむ。しかし、事件を待ちかまえていたように学校側は「新・風紀規則」を施行。男女を厳しく分断することによって学園に不穏な空気を醸し、生徒間の反目・分裂をあおろうとする。
それは、この日遅れて編入してきた〝敵〟の首領『若』――姉小路征司郎が指示した学園乗っ取り計画の最初の一手だった。『若』は、抵抗勢力と目するクルセイダーズの動向を興味深げに陰から見守る。
この事態に、姫はクルセイダーズの仲間たちにうかつな行動をつつしむようにと指示するが、一途なミホは悩んだ末に空手部のキャティと双子の広岡兄弟の協力を得て、新・風紀規則を廃止するために生徒総会の開催を求める署名運動に乗り出す。多くの生徒には敬遠されたり無視され、ミス・ランドルフにはあわや残酷な折檻を受けそうになるが、それでもやめようとしない。
一方、チクリンやオトシマエに役立たずと決めつけられてしょげ返るコックリに、姫は、滝沢邸に潜入して財宝へ達する手がかりを見つけるようにと名誉挽回のチャンスを与える。はりきって乗り込んだコックリは、地下の隠し部屋で滝沢礼子と遭遇。彼女の数奇な生い立ちや、聖エルザと〝敵〟の両方を母の仇と憎む衝撃的な理由を知らされる。
『若』は姫たちに逆らって署名運動に奔走するミホを利用しようと目論み、不足分の署名をこっそり与える。激しい雨の中謎の人影を追ったミホは気絶させられるが、「……おうじさま」とうわ言でつぶやく。署名が書かれたレポート用紙を発見したチクリンは、ミホの大切なものだからと同情して姫の眼から隠す。
姫がコックリの援護役として高尾山にさし向けたオトシマエ、若松、伊勢は水谷と出っくわして対決に。一方、姫に頼まれた手がかりをコックリが鋭く見つけ、逆上した滝沢はロウソクを投げつけ、それが絵画に引火。滝沢邸は猛火に包まれ、彼らは全員命からがら脱出する。
雨に濡れたミホは熱を出し、エルザハイツ内の病人用個室に軟禁状態に。そこに飛び込んできた紙飛行機には、脱出方法と「早く署名を提出するように」との指示が書かれていた。言われるままに脱け出して生徒総会の開催願いと署名を届け出たミホだったが、直後に新・風紀委員会に捕まり、サークル棟に連れ込まれてしまう。
ミホを見つけて署名の提出をやめさせようとする姫とチクリンは、管理棟の教頭室へ。そこから出てきた謎の若者は『若』と名乗り、学園の財宝を狙う姉小路家の息子・姉小路征司郎であると自己紹介。自分の真の目的が聖エルザの完全支配であることを宣言する。そしてミホを人質に取ったことを告げ、姫に生徒総会で自分と論戦し、勝利してみせろと要求する。
滝沢邸からもどったオトシマエとコックリは、空手部とともにミホを救出しようと奮闘する。新・風紀委員会は倒したものの、先に逃したミホはまた行方不明になってしまう。『若』の思い通りにさせないためには、翌日の生徒総会までにミホを取り返さなくてはならない。姫は厳重に警戒された学園長執務室が『若』の根城だとにらむが、簡単には踏み込んでいけない。
姫は古い地下通路が執務室につながっていると推理し、オトシマエは三バカたちを動員して徹夜で抜け穴を掘らせることに。姫はまた、コックリが入手してきた財宝へと達する手がかりが地下通路のありかを示しているにちがいないと、その謎を解こうとするが間に合わず、ついに生徒総会の時間が来てしまう。
だが、ミホを拉致したのは滝沢と水谷だった。地下通路の一角の小部屋で滝沢はミホにコックリに告げたのと同じ忌まわしい過去を伝え、〝敵〟の首領である『若』がミホを利用して生徒総会を開かせたことを教える。両親の死も『若』の陰謀だったことを知ったミホは、生徒総会に行かせてくれと訴えるが滝沢は聞き入れない。
『若』は、自身が新・風紀規則を押しつけた元凶であるにもかかわらず、なんと姫の意表をついて規則廃止を主張し、巧みな弁舌でたちまち生徒たちの圧倒的な支持を得て一躍ヒーローになってしまう。『若』の意見に反論しなければならない姫は、生徒たちの怒号を浴び、絶体絶命の窮地に立たされる。
地下通路の入口を偶然発見したチクリンは、出っくわした水谷に生徒総会がとんでもない展開になっていることを訴える。すると水谷は、滝沢に逆らってミホを彼女の手から解放する。姫を救い、『若』の裏切りと悪辣なたくらみの真相を証言しようと壇上へと進み出るミホ。だが、そのとき、突然の大音響とともに割れた窓ガラスが生徒たちの頭上に降り注ぐ……。
水谷に裏切られたという思いから滝沢は怒り狂い、財宝へ到達するために用意したダイナマイトを持って礼拝堂上の鐘楼へ。爆発の寸前、水谷とオトシマエの連携によって滝沢は救われるが、鐘楼は崩壊。その余波を受け、生徒総会は即時中止となる。
新・風紀規則は廃止されたものの、鐘楼下の『開かずの間』をアジトにしていたクルセイダーズの遺留品が爆破現場から発見されたことから、犯人と見なされた彼ら五人は無期停学処分を受けて学園を追放される――。
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〈インターリュード「その後の仁義なき聖エルザ」―― After the Breakdown〉
聖エルザに取り残された空手部のメンバー。彼らの口から生徒総会後のいきさつと学園の不穏な状況が語られる。そして、早朝の学園をランニングするキャティが破壊された鐘楼を見上げ、「みんな、ドコ行ってしまったアルか……」とつぶやく。
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