第17話 幕間

「お兄様、お誕生日おめでとうございます!」

「ありがとう、皇花」


あぁ、お兄様が私にお礼を…。

皇花は一生お兄様を愛して生きますぅ!

…そうです、一人の女として一生涯!


これが私の秘密。

これが明るみに出れば私は高遠家から放逐されるでしょう。

そうなってはお兄様と一緒に居られません。

それだけは何があっても避けなくては。


翔お兄ちゃんには感謝ですね、まさか秘密を守って下さるとは思っても居ませんでしたし。


あの日は全てを失う覚悟を決めたものですよ、ええ。

良くてこの身体のあらゆる初めてを奪われ、永久に性奴として生きていかないといけないとすら…。

ですが、翔お兄ちゃんはそんな外道とは違いました。


当時の私は、いわゆる男性不信の真っ只中でこの世の終わりだと思っていました。

いえ、今でもお兄様と翔お兄ちゃん以外の男性は信用できませんけど。


全ては我が家の父親のせいなのです。

あの男はお母様を妾として囲い、私を産ませて、更に他にも囲っている女がいます。

今流行りの不倫男ですね…本当に下衆な男です。

そのおかげで今はお兄様の妹でいられますから、その点だけは感謝してやっても良いですが。


今にして思えば、あんな下衆と翔お兄ちゃんを一緒に考えていたという事実は、私の不明を示す事になります。

お恥ずかしい限りではありますが、許して下さるでしょう。

翔お兄ちゃんは私には甘くはなくても優しいですからね。


ただ気になるのはあの若菜さんと未悠さんです。

どちらも翔お兄ちゃんを愛しているような感じですが、まさか…二股ではないですよね翔お兄ちゃん…。


まぁ、あの二人のことですからそれを容認していそうではあるのですが。

それに翔お兄ちゃんに限って、あの男のような不誠実なマネはなさらないでしょう。

…信じますからね?



それにしても最近はお兄様の事よりも翔お兄ちゃんの事を考えている時間が増えているような気がしますね。

あ、浮気とかそういうのでは決してありませんからね?

確かに私は翔お兄ちゃんを愛してはいますが、それは身内に対する愛情です。

家族愛というやつです。血は繋がっておりませんけれど。


…翔お兄ちゃんと恋人である。

そんな風聞が広がれば秘密に気付かれる可能性も相応に下がるのではないでしょうか?

やだ、もしかして私は天才なのではないですか?


明日、早速翔お兄ちゃんに相談してみましょう。

お兄ちゃんが頭を抱える未来を幻視したような気がしますが、きっと気の所為です。

だって学校中の男子が私の恋人になりたがっているんですもの。

それに、可愛い妹分の為に一肌脱いで下さる男性は無条件に格好いいと思います。


期待していますからね?

翔お兄ちゃん!

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ヴァンパイア狂想曲 水無月 @reo771

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