物語のラストを読み終えた時「ふぅ……」と息を吐きました。それは悲しみではなく、安堵でもなく、うまく言葉にできないような感覚に囚われます。 例えるなら、真っ暗な森の道を彷徨っている時に、不意に朧雲の隙間から月明かりが灯った瞬間に抱くそれのような。 恋愛を経験し、それを終えた人ならきっと感じるほろ苦さ。そういうものを優しく包み込んで表現した綺麗な短編のように感じました。