博士とティータイムなのです

小咄よしひろ

第1話

遊園地の設備点検を行っていた博士と助手、一休み入れるため遊具コーヒーカップの中に二人並んで座っていると、アルパカが紅茶を持ってやってくる。

「今日はお疲れ様、どうぞ~はいどうぞ」

置かれたカップの中の紅茶をじっと見つめる二人

しばらくして博士が

「我々は知ってしまったのです、賢いので」

あとを継いで助手が

「こういう時は、仲間との談笑をしながらお菓子を食べつつ紅茶を喫するという習慣がヒトにはあったそうです」

「はい?」

言っている意味がわからないアルパカ

「こういうのをティータイムというのです」

「コーヒーブレイクです」

助手のほうをを見る博士

それに答えて

「我々が座っているのは?」

「コーヒーカップですね」

「…それでは?」

「どちらでもいいのです。とにかくお菓子がないのです。」

助手のボケを受け流して、お菓子を要求する博士

「はいはいジャパリまんね~ちょっとまててね」

「ちがうのです。たしかにジャパリまんはお菓子にもなりますがですが違うのです。」

「でも、料理は作れないよぉ、火が怖いからねぇ。ヒグマさんなら…」

「ヒグマはだめなのです。我々のために料理を作る大事な仕事があるのです。」

少しもったいつけるように助手は

「我々は見つけたのです。この遊園地で」

「ちょっと来るのです」

言ってジャパリバスの後部車両のようなものの前へ来る3人

「これです。これは…」

「ポップコーンヤタイというものなのです。」

「そうです、それなのです。これを使ってアルパカにはお菓子を作ってもらうのです。」

「でも、こんなの使ったことないよ~」

「待っているのです。一度図書館に行って本を持ってくるので」

「ほかの客の相手でもして待っているのです。」

そう言って博士と助手は図書館のほうへと飛び去っていしまった。

残されたアルパカは、ほかのフレンズのための紅茶を準備し始めた。

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しばらくして1冊の本を持って博士と助手が戻ってきた。

「あ~おかえりなさい、いまお茶を入れますね~」

「お茶はいいのです。とにかく見るのです。聞くのです。」

持ってきた本を開いて説明を始める助手

「お湯を沸かすのに使ったデンキ。それをポップコーンヤタイにつなげるのです。」

「そして前にチョイしてきて放置されカチカチになったトウモロコシ。これを粒に分けてキカイの中に入れるのです。…そしてスイッチオンです。」

「ポチポチっとです。」

「へぇこれなら何とかできそうだねぇ」

……

「なにも起きませんね博士」

「待つのです、今我々にできるのはそれだけなのです。」

しばらくして不意に


ポン!!!!!

驚く一同

「いやびっくりしたよぉ~なに急に~ねぇ博士?」

???

はるか後方の上空にいる博士と助手

「ちょっとぉひどいよ二人だけ先に逃げて~」

非難の声を上げ、ポップコーンヤタイから距離をとるアルパカ

その間の散発的に破裂音を鳴らし続けるキカイ

「違うのです。これは…」

「これは、こうして全体を見渡せる場所から状況を確認しているのです。逃げているわけではないのです。」

言い訳をする助手

「とにかく誰かキカイの様子を見てくるのです。アルパカ、行ってくるのです。」

「ええ~いやだよぅこわいよぅ、それにキカイの故障なら私じゃどうにもならないよ。賢い二人のどちらかがいかなきゃ」

「それはそうなのですが…」

賢いと言われて引き下がれない博士と助手

「では、どちらか賢いほうが見てくるということで…」

助手は助手で何とか博士だけを行かせようとするが

「う~~~それでは助手、一緒に行くのです。」

仕方なく手をつないでゆっくりと屋台に近づく博士と助手

機械は依然破裂音を鳴らし続けている。

「博士、羽根を広げて逃げる準備をしないでください。」

「そっちこそ手を離さないでください。」

「でも、なんだろうね何かいい匂いがしてきたよぉ」

ひとり安全圏にいるアルパカはのん気なことを言う


…そこでポポポポポポポポ!!!!!と連続的に鳴り響く破裂音

羽根をばたつかせつつもなんとか地面にとどまり続ける二人すでに涙目

そうこうしているうちに音はまた散発的になりやがて鳴り止んだ。

「なにやら焦げ臭いのです」

「ヒグマが料理をやらかした時のにおいがするのです」

博士はヒグマが料理を焦がした時を思い出して言う。

それでも恐る恐る屋台に近づいて、パチッとスイッチを切りその場に伏せる二人

しばらくして危険がないことを悟って機械の扉を開いて中を確認する。

一難去ったことを確認してアルパカもやってきて

「これができあがりなの?」

そう言って空いているカップに出来上がったポップコーンを入れる。


試食のため席に戻った3人

「先ほどのあの破裂音、あれはトウモロコシの種が野生開放した音なのですね」

奇妙な回答をする助手に

「それは本当なのですか?」

「今思いつきました」

………

気を取り直してひとつつまんで口に運ぶ博士と助手

「だめなのです。」

「食べられたものではないのです」

選り分けて焦げてないものを食べるアルパカ

「黒くなってないのはおいしいょ」

改めて選り分けたものを試食する博士と助手

「食べられることは食べられますが何か物足りないのです」

持ってきた本のページをめくって助手が

「博士、こんなものはどうでしょうか?」

「キャラメルコーン?どうすればこのようになるのですか?」

「…熱してキャラメル状になった砂糖・ハチミツの中にポップコーンを入れて手早くかき混ぜるのだそうです。」

「熱する…火を使うのですね?」

「アルパカ、後はお願いするですよ」

言い残して飛び去って行く博士と助手

アルパカは途方に暮れて、残されたポップコーンをほおばる

「うぇぇ苦ぁい…ぺぇっ!」



――――――――おまけ―――――――――――

「博士、できあがったポップコーンに塩をかけてみました。」

「わぁ~いうすしお、博士うすしおだーいすき」

「露骨なパロは禁止なのです。」



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博士とティータイムなのです 小咄よしひろ @kobanasi_yosihiro

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