白痴無垢
なにも知らないのであったなら
たとえこの日々に喜びを見いだせずとも
生きていられただろう
暖かな薄桃の
いっそ白い日差しも
其処彼処に落ちる赤も
圧縮された石の空気も
朝の微睡み
昼の喧騒
夜の灯り
本を読むことの喜びや
人を愛することの素晴らしさ…
全てを感じることがなかったのなら
私は今を未来を生きていけただろうに
無感動で
無関心で
無味無臭の人だったならば
歩く道が俄然視界に映り
端々は不明瞭でたとえ闇の中に埋もれていようとも
細々としたもののみであったとしても
やはり歩くだろう
嗚呼なにも知らなかったのなら
ただ真っ白のまま生きていけたのなら
愛を綴り綴られることを知らなかったなら
生きることの楽しさやありがたさそういったもの一切持っていなかったら
意思がなかったら
そう、つまりは死人だったなら
私は明日にいた
嗚呼どうか私は生きたる屍になりたい
白痴無垢のまっさらな死体に…
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