タイトル


俺は、彼女が好きだ。


「どこが?」


と問われれば、迷わず


「彼女として生まれた全てが。」


と答えられるぐらいに。


優しく見守る眼差しが、思わず、優しく柔らかに笑む時が。

奇襲に会った時に小さく驚きの声を上げ、慌てて口を閉じ、

恥ずかしそうに赤くなる頬が。

俺と彼らの遣り取りを、微笑ましく見守る慈愛に満ちた面差しが。


そして、俺が可笑しな事を言うと、吐息の様に零れる鈴の音の甘い笑い声と、

その、桜色の唇も。


この2つは少し、照れてしまうけどね。


でも、俺の心の痛みを感じて、静かに流す煌めく水晶玉の様な涙は苦手かな。


・・だって、その頬を優しく拭ってあげる事が、出来ないから。


だけど、その涙も俺を思って流してくれているんだと思うと、

その事さえも愛おしく感じてしまうんだ。


でも、彼女はこの思いを知らない。


眠る時、休日、長い休み・・その時だけ許される愛しい彼女との

長くて短い逢瀬は、この気持ちを抱いた瞬間から、

夢の様に空しい物になってしまった。


終わりが来る物語よりも、彼女と過ごす日記のような毎日を。

永遠に続く鋼の栄光より、彼女と歩む虹色の人生を。


今の俺は、そればかり願ってしまう。


それはきっと、もう何度目かの終わりを迎えてしまったから。


終わりを迎えると、彼女は暫く俺を見てくれなくなる。

どんなに邂逅を望んでも、それは決して届かない。


でも、届く事は無いと知りつつも、願わずにはいられないんだ。


こんな自分の行動を、愚かだと嘲笑う事も、

「女々しい奴だ」と呆れる事も、自信を持って「無い」と言えるよ。


だって、決して叶う事が無い、君への「恋心」をこの胸に抱いた時から。

・・俺は愚かで、呆れる位に、この想いの成就だけを願っている。


声を聞かせて欲しい。その瞳に映り続けていたい。


どうか、貴女だけを想って、その隣りにいる事を許して下さい。


どうか、どうか。


・・・・あ。

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勇者の愛情LVは100!~主人公(あなた)と私(プレイヤー)の恋物語(RPG)~(休止中です) 空木真 @utugimakoto

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