クルッタヒトノミガヨメルナニカ
@hakanorem
第1話
私の世界は狂ってしまったようだ。
気づくと、私は暗くて何も無い所にただ1人、ぽつんと立っていた。
何も見えない。
何も聞こえない。
何の臭いもしない。
そして、何も無い。
でも、不思議と恐怖を感じない世界。
「ここはどこだろ…。」
辺りを見渡しても真っ暗でどこにいるのか全く分からない。
「世界には沢山の恐怖があります。」
どこからともなく声がした。
私の他にも誰かいるの?
「それらは全て視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚によるものである事を皆さんは知っていますか?」
暗闇の向こうから少しずつ声が聞こえてくる。
誰?
「皆様にはこれから5つの不思議な世界を体験していただきましょう。」
声は私の目の前で止まった。
目の前にいたのは人ではなかった。
むしろ生き物なのかさえ分からない。
赤くてぬるぬるしていて、目や口の位置は分からない。
呼吸をしているのかすら分からない。
唯一分かるのはさっきから聞こえる不気味なこの声はこの赤くてぬるぬるしたなんだか分からない『物体』から発されているということだけ。
「…お前は何?皆様って誰?ここはどこ?」
私がそう尋ねるとその生きてるか分からない『物体』は言った。
「おっと、申し遅れました。私(ワタクシ)はこの世界の案内人、remと申します。皆様とはここにいる皆様のことです。それから…ここは何処…でしたっけ?ここはただひたすら何も無い "ナニカ" でございます。」
「rem、ここには私とあんた以外誰もいない。それに "ナニカ" っていったい…。」
私がそう言うとズグは不敵な笑みを浮かべ、
「いづれ嫌でも分かるでしょう。それでは1つ目の世界へとご案内致します。」
と手のようなものを差し出した。
普段なら『気持ち悪い』とその手のようなものは取らなかったかもしれない。
でも、その時は何も怖くなんてなかったから…。
そしてremは言った。
「あ。一つ言い忘れていました。
もし怖くても目をつぶったり、耳を塞いだり、まあその他諸々してはいけませんよ?
もし途中で話を聞くのを辞めたら…
さて、どうなるでしょうね…?」
暗闇に不気味な笑い声が響いた。
クルッタヒトノミガヨメルナニカ @hakanorem
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