第33話
そうそう、僕ら、ローラーブレードはかなり上手になっていた。時間はいくらでもあったからどんどん上達した。すこしくらいの段差なら、かなりのスピードを出してもジャンプできるくらいになっていた。でも、あんまり外へは出かけなくなっていた。
調整池に行っても土管からは相変わらず水が出ていた。ここに来た頃は毎日見に行っていたけれども、最近はもうどうでもよくなりはじめていた。
僕らはそのうちに、別々の店で暮らすようになった。毎日同じ顔ばかりつきあわせていれば、そうなる。もともと僕らは幼なじみではあったけど、そんなに仲良しというわけでもない。ましてや兄弟でもない。
僕は2階本屋のすぐ横にある子供服の店で寝起きしていた。おちついたベージュの壁がなんとなく安らぎを与えてくれるからだ。寝る前に本をすぐ取りに行けるのもよかった。何冊も本を抱えて枕元に置いたまま僕は寝込んだこともあった。
英ちゃんはそのまま無印で寝起きして、カッコはゲームコーナーのそばの帽子屋をねぐらにしていた。最近のカッコは四六時中ほとんどゲームをしているか、寝ているかだった。たまに僕らが外へ誘っても
「いかない」
と一言言うだけでまた布団かゲームコーナへ戻ってしまう。
サオリはそんな僕らの様子を見て、なんとか色々と遊ばせようとしたり、楽しみを見つけさせようとしたけれども、僕らはそれに反応することも少なくなっていた。僕らは最初の頃の気持ちの高まりをなくしていた。
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