第10話「ピンポンピンポンピンポーン」

 ピンポーン。


「姉さん、誰か来ましたよ」


「うん、そうだね。誰か来たね」


 ピンポーン。


「今、家の中に僕と姉さんしかいないんですよ。最年長の姉さんが行くべきでは?」


「私はいずれこの家から出ていく身だからな。跡継ぎの太郎が行く方が無難じゃないかな」


 ピンポンピンポンピンポーン。


「ほら、呼ばれてますよ姉さん。あんなにしつこくてせっかちなんだからきっと姉さんの知り合いの人ですよ」


「いや私の知り合いって、私同様おしとやかな子が多いからさ」


「ダウト」


「あ?いいから出てこいや」


「イェスマム」


 いやー危ない、殺されるところだった。

 冷や冷やしながら僕がドアを開けると母さんがいた。


「引いても開かなくって」


「押すんですよ」

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