第9話「この家系のネーミングセンスがないだけですがね」

「お兄ちゃんは漢字なのにどうして私はカタカナなの?」


「…どうしてだろうねー」


「お姉ちゃんもだけど、私たちって名前の統一感が全くないよね?」


「それにはね、山よりも深く海よりも高い訳があるんだよー」


 姉さんが会話に入ってきたけど、それ平地やん。

 その通りだよ、大した理由ないよ。


「この家系のネーミングセンスがないだけですがね」


 独り言のように呟くも、姉さんの口から出任せに集中しているミネルバには届かない。


「ーーえっ…お兄ちゃんだけ本当の兄弟じゃないの?」


「おい待った、どうしてそうなった」


「だってお姉ちゃんが、お兄ちゃんは拾った桃から生まれてきたって言うから」


「ちょっと姉さん、だれが桃太郎ですか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る