プリンくらい一人で食えや

コンビニだった。


私は現在進行形で貧乏マックスで、財布も空っけつ。なのに猫のミーコが瀕死の状態で、「最後に、最後にプリンが食いたいです」とプリンの容器をぺろぺろ舐める。


たっはー、明日も早いのにいい加減にしろよ泣。


私は暴風雨の中、コンビニまでプリンを買いに行った。

完全部屋着のショートパンツ。男の目線もじろじろとしたものだったし、同性からは睨まれたがこれもミーコのため。知るか。

私はプリンを二つ買い、帰ってきたらミーコは昇天してた。


チーン。


猫は祟るからと言って母が焼香にお坊さんを呼び、当然のように私の財布から払わされ、私は怒りながらプリンを二個食った。プッチンプリンのでかくて安い奴だった。


猫って祟るから怖い。

次の日、私はまた猫にストーキングされ、にゃあにゃあ言うそいつを家に上げてプリンの容器を舐めさせて、とりあえずミーコの次なのでムーコと名付けて、これで三匹目とお気づきの読者に失笑されるのを覚悟でムーコのためにコンビニにキャットフード買いに行った。


会社帰りのスーツ姿、足元はサンダルで。


そしたら案の定、「あの」と声かけて来る純情そうな男の子。

私は急いでるんで、と無視した。

その子はこないだまで高校生だった。私が童顔だからなんか勘違いしている。

次の日電車を待って、駅にいたら向かい側にその子がいた。

あ、とぺこりとしてくるので、ぺこりと返してやったら、彼女がいてきっと睨みつけてきた。

どういうことだよーと思いながら私も怖い目で男の子を見たら、小さくなって固まって、次の列車に乗って行った。

私もその日は何ともなく無事用事を済まし、ムーコの待つ家へと帰った。


次の日、またあの子が「あの!」と出てきて、見ればプリン片手に引っ提げて、「一緒に食べませんか!」と言ってきたので、「一人で食え!」と言って手に持ったアイスコーヒーをぶっかけてやった。


「女舐めんな!」


したら、「んだよ純情そうな顔しやがって、これだから女はよー!」と切れだし、そこを通りかかった彼女が見つけてぶっ飛ばされていた。


ざまあみろ笑。


私は家に帰ってプリン食べた。

ムーコに容器を舐めさせて、一人でプリン食べた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

孤独なサボテン 夏みかん @hiropon8n

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る