箸休め 会心の進撃

 邪悪なる異邦人、魔族の力を『強大』だと表すならば――精霊王に選ばれし救世主、勇者の力は『絶大』だった。


 各国の兵士が束になっても敵わぬ魔族相手に一歩も引かず、たった一人で互角以上の死闘を演じ、魔物の群れに至っては、ただ神剣のひと薙ぎのみで殲滅するという。


 勇者は西のベシャメラ、北のエスパネイル、東のアルマンデ……と順に世界を巡り、魔族に侵略された人々の領土を奪還していった。


 そして聖暦一八九四年、四の月二十六日。


 魔族の侵攻開始からちょうど二年が経過したその日、勇者が最初に征服された街――デュークスを解放し、魔族の幹部を撃退すると、残すところは南のヴルート大陸と魔族たちの本拠地である城のみとなり、形勢は一気に逆転。


 人はますます勇者を讃え、崇めたが、それが一体いかなる人物であるのかは未だ多くの謎に包まれていた。


 というのも、勇者は非常に内向的な性格らしく、極力身分を明かさぬようにしながら仲間も作らず細々と、孤高の旅を続けているというのだ。


 ――嘘か真か。


 噂話の中で語られている勇者の姿は、金色に光り輝く髪と瞳の、見目麗しい美少女であるという。

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