箸休め 異世界からの侵略者
聖暦一八九二年、四の月二十六日。
アルマンデ大陸の南に位置する〈アラン公国〉の首都〈デュークス〉が魔物の大群による襲撃を受け陥落したのは、わずか一夜の出来事だった。
魔物。有史以前から世界に生息していたとされる、危険で獰猛な害獣。
しかし、所詮は『ケダモノ』だ。
魔物の中では賢い部類に入る亜人種、リザードマンやオークなどでも知能はせいぜい人の赤子並みである。
だから、人々の生活を脅かすことはあっても、世の平穏を揺るがせるほど凶悪な存在ではない。
――そう見なされていた。
種類も生息地もバラバラな魔物が何百匹と団結し、押し寄せてくるときまでは。
デュークスを攻め落とした魔物は、ただの『群』ではなかった。
人と魔物を混ぜ合わせたような見た目に人と変わらぬ高度な知性、意思や感情までも備えた未知の魔物が率いる『軍』だったのだ。
この世界とは異なる次元に文明を持ち、言語を解し、強力な魔法を思いのままに操るその魔物は自ら〈魔族〉と名乗り、各国に宣戦布告した。
かくして、人と魔族による世界規模の戦争〈人魔大戦〉の幕は、切って落とされたのである。
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