How to make a box




それは、僕だった。

信じられなかった、この影が僕自身と言いたいのか。

持ち上げた目玉を壁に叩きつけ頭に激しい痛みが駆け巡る。

液体が混ざり合う下を見ると黄色い液体が真っ直ぐと僕の足元に続き確かにそれは、僕の足跡だった。

よく見ると来た所から扉は、凹みあの扉と同じ大きな傷跡がついていた。

僕が付けたのか……あの扉の跡も……

全部……

自分に何が起きているのか、わからなくてただ怖かった身に覚えのない事ばかり一体どうして……

頭を抱えもがき苦しむと、一瞬ノイズが入ったような記憶が映像のように脳裏に過る。


誰かが僕の手を引き

沢山の人混みに押され引き剥がされた瞬間。


『えっ……』


僕以外の沢山の人間……生身の生き物たちが壁の外へ逃げる姿。

人形やロボットを置き去りにするその光景を。


顔を手で覆い隠し覚えていた事と今出てきた僕の昔の記憶を繋ぎ合わせた。


ここで過ごしてもう「十年」の月日が流れた。


「それは、僕が目を覚ましてからの記憶だ。」


僕が居たところがなぜゴミ捨て場だったのか。

この場所。

外のあの風景……

僕はゆっくりとよろける足を前に出し歩き始めると二人の声が耳に入った。


『食べないでっ、あっちに行って!』

『もうここも駄目なのかなぁ

もう僕らも時間がなにのにまだ生きてたこ

いつに喰われるのかな?』

『やめて目玉返したんだからどっかに行ってよ!この獣!!僕らに近づくなっ!』


獣……僕自身がそうだったんだ。


ずっと不思議だった、なぜ生身の僕がここにいたのか。

僕以外に生身の存在はいると思っていた。

でも本当はいなかった。

いなくなったんだ、皆逃げたんだ。

この霧の存在を吹き上げる蒸気の意味を全て僕は僕は思いだした。

壊れかけた扉から、外を覗いたそこにいた偽物の大人達は、消え失せ全て僕が生み出した幻覚だったんだ。

長年に渡り霧に毒され本物との区別が付かなくなっていた、あれからもう何年も経っていたんだ。


逃げなくちゃ行けなかったのに、当時の幼かった僕は親とはぐれ逃げ遅れた生身の存在の1人だった。

他にも数人いた。

この都市に人形たちと一緒に逃げ遅れてから、色んな手をつくして扉を抉じ開けようとした。

だが全てそれは、虚しく終わり人形やロボットたちと争いが始まり生身の存在の僕らは、この境界線の壁の向こうに閉じ込められた。

あの母鳥がいたのと同じ暗い隔離された場所だ。

他にも何体か優しい人形はいた、だがそれらは、僕たちよりもすぐにして砂と変わった。


あの人形さんのように。


それから、何年も達境界線の壁から出られなくなった。

幼い順に次々と毒素を含むガスにより早く衰弱していき大人や子供まで皆倒れていった。


次は誰だろう。

腐っていく死んだ生身の体を他所に次は、僕だろうか。

それともあの人、この人と考えていくようになった。


きっとあの木製の二人も逃げきり生き残った物だろう。

その時僕は、生きるのに必死だった。

お母さんがいつか迎えに来ると誰かが助けてくれると信じた。

腐りかけの死体を喰らい生き延びようと嘔吐を繰り返しそんな僕を見て残った者は、化け物の何者でもないと吐き捨て蔑んだ。


『やっぱり人狼の子は人狼だ 。

姿形をいくら変えても「獣」には違いない。』


そんな彼らもいつしかその人たちも衰弱し息を引き取った。

何年たっただろうか。

食べるものはもうなくなった。

死臭の酷い空間から逃げるために、食べ物を探すべく見つけた僕の体は成長をすることなく小さな隙間から簡単に通れた。

その時別の空間には木製の人形がいた。

当時二人を襲った僕は、少女の足を喰らい空腹を逃れようとし抵抗する少年の顔にも喰らいついた。

少年の持っていた針で目を突き刺され、僕は暴れ回り壁との隙間を抉じ開けそこで意識を失ったのだ。


その場所があのゴミ捨て場だったんだ。

生まれたわけでもなんでもない、気がついた時にはそのショックで記憶が吹き飛んでしまったのだろう。

だからこんなに曖昧で……なぜか昔と今の姿を重ね混ざってしまったんだ。


……それが真実………


本当の記憶、僕がずっと探し求めていたのは


僕は、子供ではない。

本当だったら大人にだってなれていたはずの子だった。


足を引きずり傷跡が残っている外へ繋がる扉に手をつき何度も何度も叩き付けた。

そう言うことか……生き残っちゃったんだ……

運良く生き残って1人になった。

あのゴミ捨て場は、ずっとガスが薄かっただから目覚めてから十年経っても生きていられたんだ。


今思い出せばあの人形さんの事を僕は知っている。

ロボットから、僕を助けてくれた優しい人形さん、美しいあの瞳の色から何か引っ掛かかり絡まっていた無数の糸がほどける感じがした。


もう、ここからは出られない。

もう外には、出られない。

誰も来ない。

誰も助けに来れない。


こんな死んだ都市誰も知らないんだ。


何もなかったことになった。

これがこの世界の仕組み……


真っ黒な冷たい寂しい世界の作り方。


死んでしまった物を無かったことにする

見えないように周りを囲い仕上げに上から蓋を閉める。


まるで『箱の作り方』のようだ。


これでもう……

誰かが開けないと中身は、永遠に見えないまま塞がったままだ。


何故こんなにも人は身勝手なんだろう。


まぁ、僕もその身勝手生き物の1人だ。

あんな木製の子供たちの体を我が身可愛さで喰らいおまけに恐怖を植え付けた。

化け物の姿にまで気づかないでのうのうとしていた。


今僕はどんな顔をしているだろうか。

そんなことどうでもいいか。


自分の愚かさに頬を伝い滴が流れ落ちた。

こんな化け物でもまだ涙が流れるのかと壁に額を押しつけくだらない事を吐いた。


『もう嫌だな、今更思いだすなんて

あのまま無知の子供のまま死ねたらよかったのに』


いくら経っても子供のままでずっとそう思っていたもう会えない会おうとなんて無理なんだ。

『僕の大切な人』

ずっと会いたかった探していた。



【思い出せない】【おもいだせない】


【だれ・誰・だれ・誰・だれ・誰・だれ・誰・だれ】



ねぇ、『お母さん』


僕はずっと会いたかった人はそれは自分の【家族】だ。

もう二度と会えないけどね。

思い出せないよりは遥かにいい。

でも、ここから僕はどうする?

どうすればいい?

生身のこの体が腐るのを待てと言うのだろうか。

【思い出す】その良いことは、逆手にとれば自分にとって非常に都合の悪いことになる。

【最悪の始まり】こうなるんだ……



このまま自壊でもしようか。

それもいい……

僕は、地面に落ちた割れたガラスを手に取りガラスに写った自身の瞳を見つめた。


『これじゃ本物の化け物だね。』


そう口ずさみ手に取ったガラスを自分の首筋に突き刺した。

最後に写るのが真っ暗な空に見立てた鉄の塊だなんて嫌な光景だな、母鳥の時に見たあのぜんまいの鳥が横切った気がした。


これが最後……本当に最後かな?


いやもしかしたら、全部が全部これも僕の見てる【悪夢】なのかもしれない。

真っ暗な箱の中に閉じ込められ作り出した。


幻想かも……。


【思い出しても

見つけても全てが全部良いことなんて

限らないんだ】


貴方は、何か忘れていることはありませんか?それは、家族?友人?それとも物?


別に何だって構わない。

貴方が【後悔】しなければ……ね。



The real nightmare of boy and adults……



How to make a box

The end,


Thanks for you!!!




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How to make a box 雨音 @ameyuki15

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