かつて「私」が身に付けた高校の制服を纏い、堤防に立ち、すらりとした黒髪の彼女は、透き通った声で歌をうたう。その姿を、声を、「私」は懐かしむ。その懐かしさの正体は一体何なのか。忘れ去ったつもりでいた7年前、高校時代に見ていた夢。今の自分は、当然の選択の果てにここに立っているはず。美しく、どこか儚い文体で綴られる現実と夢の狭間に、彼女が再び吐き出す歌は、どんな今と未来を描くのか。差し挟まれる詞がすごく好き。すごく刺さる。
読み終わって初めてサイソウの意味がわかりました。>埋葬できても火葬はできなかったこの一文が好きです。