第50話 明日香の選択肢。
「わたしが何を選択するのか、気になっているようですね」
僕のことを察したのか、明日香が目を合わせてきた。
「それでしたら、あなたが一番選んでほしくない選択肢を選んだ方がよさそうですね」
「いじわるだよね、君は」
「いつから、わたしはあなたに対して、優しくなったと思ったんですか」
「いや、そんなこと言ってないけど」
「ごまかし方が下手です」
「いや、本当だって」
僕が慌てた仕草で口にすると、明日香はリタの方へ顔を動かす。
「もう、決めました」
「早いね。もう少しゆっくり考えた方がいいかと思うけど」
「余計なお世話です」
明日香の口振りから、迷うような気持ちはどこにもなさそうだった。
「だって」
「って、僕に言われても……」
「だって、彼女の選択肢がイコール、君の選択肢ってことになるから」
「そうですけど、僕がいくら言ったって……」
「この人のことはどうでもいいです」
「って、言われるし……」
「まあ、そうだね」
リタは口にすると、おもむろに立ち上がった。
「じゃあ、答えを聞かせて」
「ここで言うのですか」
「言葉にしてもらわないと、わからないから」
「この人には、何となく聞かれたくないです」
「この人って……」
明日香に指を差された僕は、思わずため息をついてしまった。
「でも、言ってくれないと、伝わらないから」
「耳打ちでもダメですか」
「それはほら、結局、彼にも知る権利はあると思うから」
「わたしと同じ選択肢になるからですか」
「そうだね」
リタの返事に、明日香は間を置いて黙り込む。途中から両腕を組み、何事か悩み続ける仕草を取る。
「わかりました」
「助かるね」
「それで、その、どの選択肢を?」
僕が問いかけると、明日香は睨みつけてきた。
「あなたに聞かれて答えるのは癪なので、そういう形では答えません」
「わかったよ」
「なら、わたしからもう一度聞くね」
リタはコホンと咳払いをした。
「間戸宮明日香の選択肢は?」
「わたしの選択肢は」
続けて口にした明日香の答えに、僕は特に驚くことも、抗うこともしなかった。
なぜなら、僕にとって、明日香に相応しい選択肢だろうと感じたからだ。
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