第5話...18

欲しい。


足りない、もっと。


初めての男。

初めてのキス。

初めてのセックス。


齢18になって経験した『大人の恋』というものは、テレビの中のドラマより簡単で、バカらしくて、同じくらいどろりと甘ったるかった。


親にも秘密にして泊まりに行った幾つか上の男の部屋は微かに煙草と酒の匂いが残っていて、それらとまるっきり縁がなかった気配を肌に感じて、妙に緊張した。

真白なシングルベッドの上で長い髪を散らして、乳房を、体を、心を弄ばれた。

あんなに人に隅々まで体を見られたのも、触られたのも初めてだった。


男の笑顔が好きだった。


男はベッドの上でも同じように微笑んでいた。

だが隠しきれない内に潜む獣が目を光らせていて、射抜くような視線に私は動けなくなって。

獣が私に口づけた時、



私はすべてを暴かれた。



男を知った。

痛みを知った。

快感を知った。

求められるということを知った。

それによって得る幸せも知った。

どこからか溢れる切なさも。


あの夜私は男女を知った。


父も母も、かつてはあの夜を過ごしたのだ。

そして私が生まれた。


何気なく指を唇にあてる。

男の薄い唇を、煙草と酒の混じった味を思い出す。

男の目を思い出す。

荒い呼吸を、

手を。



嗚呼、欲しい。



齢18になって、私の中の獣が、目を覚ました。

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ぱっとな。 浅倉 @asakuradesu

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