フォッサ(45番 ネコ目マダガスカルマングース科フォッサ属フォッサ)
第11話 まもりたいもの
私はフォッサ。(45番 ネコ目マダガスカルマングース科フォッサ属フォッサ)
じゃんぐるちほーでは、少しは名の知れたけものなんだ。
特徴は長くて大きい、自慢の尻尾。
並大抵のセルリアン相手になら、負けないくらい、戦いは得意だよ。
しかし潰し合いだなんて、本当にふざけてるよね。
だって、信じられる? 入り口に、アクシスジカとサバンナシマウマが風船を潰されて倒れていたんだよ?
何があったのかなんて、あんなの、誰が見たって分かるよ。
「ゲームに乗った奴がいる」
私の見解だけど。うん、間違いない。
多分、入り口で待ち伏せして、一気に攻撃をしかけたんだ。
いや、でも、それならアクシスジカがあそこで倒れてるのはおかしいんじゃないか。
だって、あの子、一番最初に出発したし。
……うーん、分からない。
それでも、ともかく、私は走ることにした。
他のフレンズを探すために。
もし、やる気になったフレンズがいたら、なんとしても止めさせないと。
それに、一緒にモツゴロウと戦う仲間がいたら、とっても嬉しいことだと思うんだ。
しばらく走って……方向は火山の方かな。
で、誰も見つからなかったら、ロッジってところに行こうと思ってる。
ロッジアリツカ、だっけ?
あそこなら、誰かに会える気がするし。
で、みんなで協力しようって仲間が見つかれば、きっと何か、モツゴロウと戦うための上手い手段が思いつくはずだよ。きっとそう。
でも、そう思ったその時、パンッと音がして、私は身を竦ませた。
「な、何? 今の」
少し遠い。
でも、何の音かは、分かった。
理解は遅れてやってきたんだ。
「腕時計の、音?」
……誰かが襲われて、風船を潰されたんだ。
そんな。なんでゲームなんかに乗っちゃうの?
私は、みんなのためにも、なんとか潰し合いをやめさせないとって、音のした方へ走った。
私はじゃんぐるちほーからあまり出たことが無い。
たまに行くのはさばんなちほーくらいだけど、でも、それでも、こうした固い平坦な地面を走るのは苦手じゃないんだ。
大丈夫。駆けつけていける。
困っている子は助けて、やる気になった子がいたら、なんとしても止めさせるんだ。
そして、見つけた。
大きな木の近くに、一匹。
立っているフレンズ。
私が先に見つけたと思ったんだけど、向こうはそもそも近づいた時点で気づいていたようで、簡単に声をかけられてしまった。
もしかしたら、誰か来るのを待っていたのかも。
「フォッサか?」
「君は、キングコブラ……?」
キングコブラだ。
じゃんぐるちほーのフレンズ。
私よりもずっと強くて、それでも目立つのがあんまり得意じゃなくて、いつも隠れたりしてる、あのキングコブラだった。
「こんなところで、どうしたの? さっき、こっちの方から腕時計が作動した音がしたし、危ないよ?」
「……」
「ここを離れよう、とりあえず……」
でも、私は驚くことになった。
近寄った私は、キングコブラの近くに、誰かが倒れているのに気づいたんだ。
「え?」
オセロット(17番 ネコ目ネコ科オセロット属オセロット)だった。
同じじゃんぐるちほーのけもの。クールで、泳ぎが上手くて、それでもマイペースで、いつも寝てばかりいた、あのオセロットだった。
「オセロット……? そんな! 風船が潰されてる! なんで、こんな」
「……」
キングコブラは何も語らない。
その沈黙が酷く冷たくて、私は混乱した。
でも、聞かないと。これは一体どういうことなのかって。
「き、キングコブラがやったの?」
「そうだ」
私は身構える。
さっきの音は、オセロットの腕時計だったのか。
いや、少し落ち着こう。早とちりは良くないよね。
「……お、オセロットに襲われて、反撃したとか?」
「その通りだ」
僅かに頷いたキングコブラを見て、私はホッと安心して構えを解いた。
そうだよね。キングコブラがゲームに乗るはずなんて無い。
だって、キングコブラは王様なんだ。
普段から「頼みごとがあれば何でも言え」って言ってるし、こんな状況なら、みんなを助けたいって、動くはずだもん。
……いや、でも、オセロットが、まさかゲームに乗るなんて。
これには私は酷く落胆もしたし、でも、それでもキングコブラと出会えたことを、幸運と思ったよ。
だって、キングコブラは強いんだ。
めちゃくちゃ強いんだ。
この私も何回か勝負しようって、遊びで戦ったことあるけど、勝ったこと無い。
それどころか、体の大きいゾウにだって勝てるだなんて、そんな噂も聞いたことある。
「あ、キングコブラ! 私は違うからね! 君を襲ったりしないから!」
「そうだな。そう思うよ」
「うん。ありがとう! そうだ、キングコブラ! 私と一緒に仲間を探そう! 君がいてくれたら、とっても心強いし。一緒に、モツゴロウを倒そうよ!」
「モツゴロウと戦うのか? 手段は何か思いついたのか?」
「それは、まだ何も。でも、みんなで集まれば、何かきっといい方法が思い浮かぶよ!」
私は彼女に近づいた。
しかし、私は足を止めてしまった。
「……え?」
キングコブラの近く、こちらから死角になる茂みのところにオオアルマジロ(13番 被甲目アルマジロ科オオアルマジロ属大アルマジロ)がいたのに気づいたので。
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