最後の願い

北海ハル

男は願う。

 ある男の目の前に、いきなり「神だ」と名乗る者が現れた。


「ふふん、そんな物語みたいなウソ、信じないからな」

「ははは、信じるも信じないもお前さん次第だがな。まあ一応聞きなさい。一つだけ、何でも願いを叶えてやろう」

「はあ?なんだって僕に?」

 男はちょっと惹き込まれた。

「いやぁ、お前さんこれまで色んな善行をしてきたからな。その褒美と言ってはなんだが……」

「へえ、そういう事か」


 男は疑り深かった。

 これが本当なら非常に勿体ないが、どうせ嘘だろうと男はまた善行を積むことにした。

「じゃあ、この世界……地球、宇宙のためになる事をしてほしいな」

「ふむ、お前さんは本当に思慮深い男じゃの。よし分かった。少し待ちなされ」

 神が手元の杖を振りながら何やら唱え始める。やがて「ほいっ!」と叫び杖を落とす。

「ふぃ〜、終わったぞ。お前さんが願った世界になった。よしよし、それじゃあの」

 そう言って神は人のいなくなった地球を飛び立った。

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最後の願い 北海ハル @hata

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