第3話
伊勢物語は、全部で125編あります。
ここでは第○○段と記されています。
筒井筒というタイトルに興味を覚えました。
作品については、前述の通りです。
筒井とは井戸の事を指しています。
井筒とは、囲いの事です。
この作品の解説資料をあたると、みな同じ事が書いてあります。
しかし、私は、ある事に気づいたのです!
解説資料では、誰もこの事に触れていません。
「これは? もしかすると?」
調べました。そうして突き止めました。
筒井筒とは、単に井戸の囲いではなかったのです。
奈良県大和郡山市に筒井町という町があるのです。
国道25号線と県道108号線が交差する辺りに筒井という駅があります。
そうなのです。筒井筒とは筒井という地名の掛け言葉だったのです。
この作品は筒井に住んでいる夫婦の物語ですよとタイトルに意味を隠したのです。
読者は、冒頭の井戸の記述に目を奪われて、まさか筒井の住人を指しているとは思いません。
ヒントは歌にありました。
《風吹けば 沖つ白波 竜田山》
白波が立つ 立つ田山
このような表現を掛け言葉と言います。
この作者は、タイトルにそれを仕込んだのです。
推測ですが、作者は曾て筒井という所へ出掛け、井戸の周りで遊ぶ子供達を見かけたのです。それをヒントに創作した。恐らくそういうことだろうと思います。
これに気づいた驚きは感動でもありました。
ちなみに。この作品の作者は女性であろうと思われます。何故なら、最後に記される二首の和歌は女性ならではの感性で、《雲よ生駒の山を隠さないで》などと、狂おしくも繊細で気の利いた表現は、男では為し得ないからです。
では、この作品に敬意を表して同じ手法を試してみよう。
言わばチャレンジ精神です。
タイトルは【伝わるもの】
伝わるものとは【意思が伝わる】という意味ですが、もうひとつ【伝承されたもの】という意味でもあります。
この二つを同時に表現するタイトルで、タイトルの意味の通り、二つの物語を編み込みました。
伝わるもの 朝星青大 @asahosi
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