第3話
ふう、やっと着いた。
何だかんだで疲れているみたいだな。
戦闘は重労働だったし。
きっと転生じゃ無くて転移だったらここまでの事は出来ないのだろうな。
因みに今のlevelは41。
あんだけ倒しても中々上がらなかった。
そう言えば、分魂ってどんな能力なんだ?後、黒鬼の王祖。
解析、解析っと。
※
分魂(二十五%)
→血族作成
→???
※
血族作成をタップ。
※
血族作成
黒鬼の仲間を創る。
経験庫の中の経験値を消費する。
最下級で4000経験値。
※
次に黒鬼の王祖を解析。
※
黒鬼の王祖(十%)
→黒雷奏鎖
→???
※
黒雷奏鎖をタップ。
※
黒雷奏鎖
鎖状の黒雷を発生・操作が出来る。
保有最大魔力量に比例して同時に操作出来る黒雷の数が増える。
※
うん、強いね。
さて、邪魔になるしギルドに入ろうか。
やはり受付は美人さんの所だけ大勢並んでいた。
俺がさっき並んだ受付嬢も可愛かったと思うのだが、人気は無いのだろうか?
まあ、そんな事考えていても仕方無いか。
「あっ、帰ってきたのですね。遅いので何かあったのではと心配してたんですよ?」
「すみません。初めての討伐で気分が昂ってしまいまして。依頼は完了しました。証拠はこれとこれです」
「はい。確認しました。……って、何ですか!この討伐数は!?本当に初めての討伐何ですか?!」
「はい。そうですよ。何しろ集落を殲滅していたらこんなに空が暗くなってしまっていまして。急いで帰ってきた次第です」
「そ、そうですか。……リュートさん。話が有るのですが、少し着いてきてもらえますか?」
「分かりました」
受付嬢に連れられて、カウンター内の奥に在る通路へ向かう。
右手側に在る『応接間』と書かれた部屋に入った。
「では、マスターを呼んでくるので、少々お待ちください」
そう言って受付嬢は出ていった。
そう言えば、経験庫にはどれだけの経験値が貯まってるんだろう?
※
経験値 十三万
※
うぇいっ!?
十三万って!十三万って!(重要な事だから二回言いました。)
そりゃあ、レベルがあんまり上がらない訳だよ。
まあ、ギルドの依頼に行き詰まったら分魂しても良いかもな。
そんな事を考えている内にドアがノックされた。
「リュートさん。開けますね」
ノックと言っても伝える為だけだった様で、返事を返す前にドアが開いた。
入ってきたのは、受付嬢と美人さん。
受付嬢は茶髪に茶眼で顔立ちは可愛らしい系だったが、美人さんは美人系だ。
赤い癖の有る髪がワイルドな感じで、野生の獣みたいだ。
しかし、髪は艶々。そして整えられている。
顔立ちも美人で活発そうな感じだ。
「お前さんがリュートか?」
「そうです」
「お前さん。どっかの騎士か、貴族かい?新人にしちゃあ、ちっとばかし所か一級の連中並み、下手したらそれ以上の討伐数だ。おまけに始めたのは数時間前と来てやがる。で、どうなんだ?」
「いえ、貴族でも騎士でも有りませんよ。ただの一般人です」
「本当か?」
「ええ、本当ですよ。そう言えば、鬼人族や龍人族の冒険者は居るんですか?」
「居るぞ。ここのギルドには鬼人族の女冒険者丁度今来ている。……そのどちらかと言う事か?」
「あまり広めてほしくは有りませんが、仲間が居るなら別に上の人にはバラしても良いですね。僕は鬼人族ですよ」
「なっ!?ですが、確かに冒険者カードには人族と!」
「リリシア。魔導具、神成具、の類いなら可能でしょ?」
「多分ですが、僕が持っているのは神成具ですね。唯一神アルファティナ様から頂いた物ですので」
「唯一神様から!?と言う事は白角以上か王祖と言う事でしょうか?」
「黒鬼の王祖ですよ。証拠はこれですね」
完全偽装を解除する。
米噛みの辺りから生える二本の黒い角が顕れる。
見ている二人は心此処に在らずと言った表情で惚けていた。
「確かに黒い角が二本有りますね」
「……」
「どうしました?マスター」
「……決めた。お前さんを五級冒険者に昇格する。これは決定事項だ」
「良いんですか?」
「ギルドマスター権限で、才能の有る奴は五級まで上げて良いと決められているからな。何の問題も無い」
へぇ。と相槌を打ちながら、完全偽装を再度発動させる。
「さて、更新するから冒険者カードを貸してくれ」
ギルマスさんにカードを渡す。
受付嬢はリリシア。ギルマスは何て名前なんだろうね。
まあ、別に気にしないけど。
あっ、そう言えば。
「そう言えば、リリシアさん」
「ひゃいっ!」
「……今から泊まれる宿って在りますかね?」
「うぅ~」
さっきの可愛い返事はスルーしてあげよう。
「おそらく無いと思います。多少ベッドが硬くても問題無いのでしたら、ギルド内で寝泊まり出来ますが」
「では、頼めますか?」
「承知しました。後でご案内致します」
後はギルマスが帰ってくるまで、創る血族の事でも考えていようか。
男だとしたら
颯真だと爽やか系かクール系かな。
クールな無口系忍者。これはモテますわ。
悠姫だと元気っ娘系、お姫様系かな。
天然ドジっ子お姫様。老若男女に可愛がられそうだな。
颯真は忍者、悠姫は聖女とか
クールな忍者が大食いだとか良いよな。
天然ドジっ子だけど策士でも有るとか。
うん、これで決まりだな。
ただパーティーだと、俺(前衛、侍)、颯真(斥候、忍者)、悠姫(後衛、聖女)。
魔法職が居ないんだけど。
俺は前で戦いたいし、どっちかって言うと魔法剣士(侍)だし。
なら魔法職の血族も創るか。
さて、女にするべきか男にするべきか。
どうしようか。
「お待たせしました。冒険者カードをお返し致します」
「ああ、ありがとうございます」
「これで、四級までの依頼が受けられる様になりました。四級になるためには試験をクリアしなくてはなりません。本来は依頼を一定数こなさなくてはいけないのですが、ギルマスからの推薦でその必要無くなりますので次回の昇格試験から参加できます」
渡しに来たのは男性職員だった。
おそらくギルマスだから忙しいのだろう。
あの男性職員も忙しいのか、カードを渡すと直ぐに出ていってしまった。
「では、リュートさん。案内致します」
「ええ、宜しくお願いします」
通路を出て、掲示板横の階段を上がる。
階段を抜けた直ぐ先に受付が在り、三人のスタッフが待機していた。
スタッフの一人にリリシアさんが話し掛け、少し説明してから俺を呼んだ。
「ようこそ、リュート様。今回は何れ位の宿泊でしょうか?」
「四人部屋で取り敢えず、一週間お願いします」
「了解致しました。お食事は、下で直接お食べになりますか?それともお部屋にお運び致しましょうか?」
「じゃあ、部屋でお願いします」
「了解致しました。こちらがお部屋の鍵となっております。お食事は六時頃にお運び致します」
「分かりました。お願いします」
「では、十二万Gのお支払をお願いします」
「はい。どうぞ」
「確かに。お部屋は上の階の階段を上がった目の前の通路の一番奥となっております」
「ご丁寧にありがとうございます」
そこで階段に向かう。
あれ?何か忘れている様な?
「そう言えば、リリシアさん。僕の依頼の成功報酬まだ貰っていないのですが」
「あっ!忘れてました!すみません、直ぐ取ってきます!」
そう言ってリリシアさんは駆けていった。
部屋で待ってるか。
黒鬼さんが行く、異世界ぶらり旅。 近藤 護 @konoe_kanata
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