グーター 恋する星の力

 俺の役割、そして能力は育成と再生。


 ほぼ全ての力をミキに使ってしまったので、今は何も出来ない。


 時を経て力が貯まったとしてもミキを生殖可能期間内に進化させる事は、もう現実的に不可能となってしまった。


 時間さえかければ彼女の乱れた脳波を再生する事は可能だが、それもこの精神状態が続けば非常に困難だと言える。


 ミキの感情に多大な影響を及ぼすトリガーはタクミ。

 タクミの状態が改善されなければミキはこのままか、悪くすれば今以上に精神が錯乱してしまうだろう。


 そうなればもう、俺に出来ることは何もない。


 嘆かわしい。嘆かわしい。嘆かわしい。


 自分の判断の甘さが嘆かわしい。


 あの夜、ミキを覚醒させなければタクミを目覚めさせる力も残っていたのに。


 こんなに小さくなっては、もう何も出来ない。


 なんと愚かしいのだ俺は。



 ・



 …… …… 違うな。


 俺は現世に残りたいから言い訳をしているのだ。

 ミキという素体、タクミという生命力と聡明さに溢れた人間。


 今まで植物や動物にしか宿ってこなかった俺が、彼らに出会って現世に未練を持ってしまっているのだ。


 今ならキャサリン達の気持ちが少しは解る。


 人間は可能性が凄いのだ。

 とにかく無条件で楽しいのだ。

 離れたくないのだ!


 俺達のような存在は人間に宿るようには出来ていない。

 俺達の力を人間に流し続けると人間が生物内で突出してしまうからだ。


 今でさえ突出しているのに、これ以上多くの人間が突出してしまえば地球のバランスが狂ってしまうからだ。


 だが俺は解った上でタブーを犯した。


 彼女に惹かれた。

 彼女の役に立ちたかった。

 彼女の進化を見届けたかった。


 彼女が好きだった。


 ・


 俺の力は彼女の為に使うと決めていた。

 俺は彼女に恩返しをしたかった。

 俺は彼女に肩入れをした。


 その結果がこれだ。


 だからこそ俺は――



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