グーテンベルク・モーゲンシュタイン

 俺を目覚めさせたのは母なる少女。


 暖かくて適度に涼しい場所へと運んでくれた。


 その匂い、その感触、そしてその僅かに歪んだ波長。


 忘れはしない。忘れはしない。


 何時かまた、巡り合えるだろうか……。


 ・


 グーテンベルク・モーゲンシュタイン・フォン・サンフラワー。


 それが俺の存在に刻まれた称号。


 役割は『育成と再生』


 この星の人間を除くあらゆるものに宿りし力の一部。


 この星の人間を除くあらゆるものを育てる力の一部。


 強い力ではない。


 しかし無力でもない。


 そんな存在。


 ・


 あの匂いを感じた。


 あの波長を感じた。


 俺はでもまだ若い。


 まだまだ力が足りていない。


 いずれ役割を終え、開放されたその時はきっと…。


 ・


 あの波動を感じた。


 僅かに歪んだあの波長。


 彼女はいつもいつも俺の手助けをしてくれる。


 彼女が水をかけてくれるから、俺は全力を出さずに貯めて置ける。


 ・


 咲き誇った。


 見事に天を仰ぎ、咲き誇った。


 喜ばしい。喜ばしい。喜ばしい。


 役割から解放された。


 だから俺は彼女を待つ。


 余った力は彼女に渡そう。


 ずっとずっとそう決めていた。


 そうしてから星に還ると決めていた。


 ・


 彼女の匂い、彼女の僅かに歪んだ波長。


 彼女の温度を感じた。


 旅立つのは今。


 彼女の前に顕現しよう。


 俺の力は『育成と再生』なのだから。

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