第3話 目が覚めると

鳥の声が聞こえる、、、朝?

鼻にくるツンとした匂い、、、

あー、病院に運ばれたんだよな、、、


ゆっくり目を開けると隣で淳が手を握ってくれながら寝ている


左脚は何かで吊られていて足首から太ももまで包帯を巻かれ、真っ白い棒になっているのが見える


「じゅ、、ん?」

淳に握られている左手を少し握り返してみる。

なんだかすごく疲れて体に力が入らない。


「...!!愛理!、、はぁ、よかった...目、さめて。すぐ先生呼ぶからな!」


そう言ってベッドの横のナースコールを押した。


「淳、ずっとここにいてくれたの?」


「まあ、、俺の責任もあるし、、、

ずっとって言っても、一晩だけだよ。

目覚めるまで心配で離れられるわけないじゃん。好きな人をこんな大怪我させて」


「...?」


「愛理、今言うことじゃないとは思うんだけど、俺お前のことずっと好きだった」


「...えっ....!?」

驚きすぎて身体を起き上がらせようとした途端、脚に激痛が走る

「いっっっっ....!!!」


「あーごめんごめんごめんごめん、

驚かせちゃったよな...

昨日愛理が目覚まさなくて、

薬が効いてるだけだってわかってはいるんだけど、

大切な人には伝えられる時に気持ち伝えておかなきゃなって思って...

一回痛いほど実感してるのに...」


「...一回?前何かあったの?」


〜ガラガラガラガラ

会話を遮るように、白衣を着た40歳くらいの男の人が入ってきた。


「佐伯さん、目覚めましたか!担当の田井です。よろしくね!」


なんかちょっと調子の良さそうな人。


隣にはビニール袋を持って、息を切らしたお母さんがいる。購買にでも行っていたようだ。

「愛理!!!もう、あんたは、、、心配かけて、、、でも、本当よかった、、、」

「お母さん(笑)」


「佐伯さん!自分の名前と生年月日、わかりますか?」


「佐伯愛理、1998年5月20日生まれです。」


「記憶の方は大丈夫そうですね、何故病院にいるか、覚えていますか?」


「駅の階段から、、落ちました、、」


「ちゃんと覚えてるみたいだね!よかった。

検査はするけど、記憶の方は大丈夫そうかな。

しばらくたんこぶは痛いだろうけど(笑)すぐにおさまるから大丈夫。

手は問題なく動かせそうかな?」

「はい、」

「右脚はどうかな、ゆっくり曲げてみて」

「大丈夫だと思います」

「よかった。腰も強く打ってるようだけど、幸いなんともなさそうかな。詳しくは検査しないとなんとも言えないけど。打ちどころが悪いと手脚に違和感でてもおかしくないから。

これから少しでも変な感覚があったら教えてね。


左脚の方は結構ひどそうかな、、、。この後レントゲンとります。今は腫れがひどいから一旦シーネで固定してます。脚の痛みはどんな感じ?痛くて寝てもいられないくらい?」


「かなり、痛いです、、、」


「そっか、ちょっと強めの痛みどめ出しておくから。痛みどめが効いてきたら検査しようね。あと杉本さんよろしく。」


「はい。佐伯さんを担当させていただきます、杉本です。早速点滴変えて痛み止めいれますね〜」

すごいおっとりした肌の白い看護師さんだ。


何故か淳はずっと険しい顔をしている


「淳?どうかした?」


「ん?なんでもないよ?」

絶対なんでもなくないが、話してはくれなさそうだからこれ以上突っ込むのはやめた。


「痛み止めのお薬いれておきました。強いお薬なので少し眠くなっちゃうと思いますけど、お休みしていただいて結構ですからね。痛み止め効いてきた頃にまた来ますね。」


「はい、お願いします」


しばらくすると薬の副作用で私は眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつまでも隣にいて @crt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ