キャラクター紹介(第Ⅴ章終了時点)

 ◎合唱部


 〇42期生(現3年生)

 ・飯田いいだ 希和まれかず

 バス、副部長。入部のきっかけである報道編集委員も継続。

 これまでの歌詞のアレンジやラップの考案に続き、今年度は演劇部と合同でのミュージカルにて脚本・作詞の中心を担った。キャストとしてもウィングスのダーズを担当、苦手の多かった歌唱も大幅な改善がみられた。


 詩葉への告白が拒まれて以降も、信頼できる仲間として交流を続けてきた。引退をきっかけに距離を置きつつ、お互いの人生にエールを贈りあって卒業。

 ウェブ上では「和枝」というハンドルネームで小説を投稿。読者であり同志でもある紡とのメッセージのやり取りは続いており、受験期も励ましあってきた。

 卒業後は首都圏の公立大の法律系学科に進学。


 ・ひいらぎ 詩葉うたは

 ソプラノ。ミュージカルでは主役であるアクアズのギラハを担当し、演劇部員も驚くほどの迫真の演技を披露した。

 以前は目立っていた幼さは薄くなり、明るさと共に芯の強さが目立つように。

 希和の告白を拒みつつも、友人としてはより深い信頼を寄せるように。一方で、希和が次の出会いに前向きになれるよう気を配ってもきた。

 陽向との関係は、カップルとしても仲間としても非常に充実。その喜びに励まされるように学業でも成長し、進路を主体的に考えるようになった。性にまつわる学問に取り組むべく難関の女子大を志望し、惜しくも届かなかったため浪人を決意した。

 


 ・武澤たけざわ 結樹ゆき

 アルト。部長。ミュージカルではグランズの族長、タキを担当。普段のリーダーらしさを存分に活かし、カリスマらしい雰囲気を演出。

 自分たちの代は自分たちのやりたいことを、という方針で部のチャレンジの先頭に立ち続けてきた。真田に告白したことで片想いに折り合いがつき、彼や紅葉との友情は順調に続いていた。また、一時期は距離をつかみかねていた詩葉とも気兼ねなく付き合えるようになり、親友の変化を喜んでいる。

 薬剤師という目標へ向け、北陸の国立大の薬学部に進学。


 ・朝井あさい 春菜はるな

 アルト。ミュージカルでは龍と神セイドをトリオで担当、ピッチの正確さを活かした複雑なハーモニーを披露した。

 細やかな目配りはそのままに、より積極的に周囲と関われるように。理解者であった祖父の死も、恋人である福坂に支えられ乗り越えつつある。しかし、福坂の真摯かつ熱烈な愛情に対し、自分が冷静すぎることには疑問を抱き続けている。

 看護師という目標へ向け、県内の看護大へ進学。


 ・藤風ふじかぜ あき

 ソプラノ。ミュージカルではアクアズのゼッキーを担当、悪役らしい歌い回しやアクロバットで活躍した。

 他の同期部員とは当初は交流が少なかったものの、今ではすっかり打ち解けており、希和のことも「嫌いだったし仲良くない」と言いつつ信頼はしている。

 元々やりたかった軽音系ではなく合唱部に参加したが、そこで身につけた多彩な表現を誇るだけでなく、出会いの意外性にも価値を見いだしている。

 卒業後は首都圏の私大の経済系学科に進学、地元を出るという目標を達成した。

 


 〇43期生(現2年生)

 ・月野つきの 陽向ひなた

 ソプラノ。ミュージカルでは準主役ともいえるウィングスのキーナを担当。

 中学時代に詩葉に一目惚れして以来、常に詩葉との関係を最優先とし、現在は幸せな交際を続けている。大人になるにつれてレズビアンとして直面する壁が増えるであろうことも理解しているが、両親が詩葉との仲を全面的に応援してくれることもあり、それほど不安には思っていない。

 同じように詩葉に恋する希和に対しては、当初は疎ましく感じていたものの、仲間として友として好意的に捉えるように。

 3年生の引退後は副部長となった。


 ・倉名くらな 香永かえ

 アルト。OBである栄太の妹。ミュージカルでは龍と神セイドをトリオで担当、台詞の荘厳さの中心となった。

 合唱経験者であり、豊かで力強い歌声を持つ。言動には豪快さが漂うが面倒見は丁寧であり、今の部活では松垣先生に次いで指導役に回ることが多い。


 ・うるし 沙由さゆ

 ソプラノ。ミュージカルではグランズのシーユを担当。

 元々合唱には馴染んでいなかったが、旧友である香永に連れられて入部。以前はコンプレックスでもあった可憐な容姿も、部のパフォーマンスにおける重要な武器として前向きに捉えるようになった。受動的な自分を変えるべく、部長に志願し就任。



 ・清水しみず 礼汰れいた

 テノール。ミュージカルではグランズのズーイを担当、ラップ担当としてのスキルを見せつけた。

 ミーハーなオタク気質で、女性同士のやり取りに猛烈な興味を抱く百合厨。しかし、他者の鑑賞を偏重する姿勢を改めるべく、女子部員と距離を置くことも意識するように。

 希和とは趣味が合うこと、自身の歪さや陽向への失恋を明かせたことなどから、深い愛着を抱いている。

 

 ・福坂ふくさか しょう

 バス。ミュージカルではアクアズのザッカを担当。

 合唱経験者で、技術も指導力も確か。口数も表情の変化も少ないが、男声のまとめ役としてコミュニケーションを取ることが増えた。タイプの違う希和には向き合いにくさを感じつつも、彼なりの長所を評価してもきた。

 春菜との交際も、つうましいながらも穏やかに続いている。


 ○44期生(1年生)

 ・伊綱いづな 和海なごみ

 アルト。ミュージカルでは、ギラハの母でもあるグランズのナミナを担当。

 合唱経験者で、愛着も技術も人並み以上。結樹たちとは異なる、コンクールでの上位入賞を最優先としたいタイプであり、それを明言してもいる。

 中学までは、双子の妹である空詠、幼馴染みの泰地と共に合唱を続けてきた。空詠が演劇に方針転換したことは受け容れる一方で、泰地が合唱を続けることは当然だと捉えていた。


 ・古隠こがくし 泰地たいち

 テノール。ミュージカルでは龍と神セイドをトリオで担当、ハーモニーだけでなく振り付けでも活躍した。

 少年的な印象の強い美形で、女子からの人気は高いが本人はコンプレックス。幼馴染みの伊綱姉妹のうち、常に干渉してくる和海にはうんざりしがちだが、距離のある空詠には恋愛に近い感情を抱いている。


 〇41期生(昨年度卒業)

 ・鷹林たかばやし 陽子ようこ

 アルト。前部長。

 外見・気性ともにボーイッシュ。部長時はこれまでとは違う「攻め」の合唱部を目指し、新しいスタイルに挑戦してきた。

 関西に進学したことで雪坂メンバーとはやや距離ができたが、勢いのよすぎる愛情表現は相変わらず。遠距離恋愛となった中村とも、連絡の頻度は少ないが要所で愛情を確かめ合っている。


 ・中村なかむら 直也なおや

 バス。前副部長。同じパートの先輩として根気よく希和の成長を導いてきた。

 現在は信野市立大学情報工学部1年生。サークルとして設立されたHumaNoiseにも参加しており、部員とも頻繁に顔を合わせている。陽子との遠距離恋愛には寂しさを覚えている模様。


 ・加藤かとう 由那ゆな

 ソプラノ。中学では不登校であったが、合唱部の活動を通して明るさや自信を取り戻していった。現在は信野市立大学生活科学部1年生、おとなしさの目立つこれまでとは一転、華やかな装いを楽しんでいる。


 ・真田さなだ 恵一けいいち

 テノール。奏恵の彼氏であり、彼女に寄り添うべく音楽を続けてきた。

 しかし、奏恵にとって一番の後輩となった結樹からの好意はかなり重く受け止めており、告白された際には感謝を伝えていた。その後も、部の節目の度に結樹を労っている。

 現在は奏恵と同棲しつつ、関東の国立大学の工学部に在籍。


 ・紅葉もみじ 奏恵かなえ

 アルト。かつては母親から虐待を受けており、現在も両親とは距離を取っているが、恵一の支えや部活での出会いにより人生に充実を感じている。特に、同じく恵一に好意を寄せていた結樹のことは、後輩としても友人としても大切に想っている。

 当初は四年制大学への進学を考えていたが、音楽業界での就職を決意。浪人しながら恵一と共に資金を貯め、専門学校への入学を目指すことに。


 

 〇40期生(2年前に卒業)

 ・山野やまの 和可奈わかな

 ソプラノ。元部長。

 同期が辞めていく悲しみを抱えながらも、後輩たちを明るく導き、コンクールでは数年ぶりに銀賞を獲得。

 現在は信野市立大学の地域経済学部の2年生。HumaNoise運営の中心となっており、卒業後も強いリーダーシップを発揮し続けている。


 ・倉名くらな 栄太えいた

 バス。元副部長。和可奈の歌声や人徳を高く評価し、彼女が才能をストレスなく発揮できるように、アシストに力を注いできた。東北地方の国立大の薬学部に進学し、コンクールやライブの際は帰省。想像以上に成長した後輩たちを前に、自身のこれまでへの肯定感が強まるのを感じていた。


 同性愛者であることを自覚しており、弦賀には深い恋慕を寄せ続けていた。しかし和可奈と弦賀の、そして自身と和可奈の関係を壊さないために、在学中はその想いを誰にも打ち明けずにいた。しかし、シンパシーを感じた希和にだけはカムアウトしている。


 ◎演劇部

 ・八宵やよい かえで

 3年生、部長。演技も裏方もこなすだけでなく、レクチャーや指導も的確。

 普段は少人数でのストレートプレイを行っているが、最後の文化祭では大勢で賑やかな劇をやりたい、という思いからミュージカルを企画。演劇は初心者だらけの合唱部員から、上手く素質を引き出してきた。本番では照明を担当。

 過去の経験から部内恋愛禁止を通達している。相棒である樫井のことは信頼しており、彼から寄せられる愛情にも気づいていたが、最後まで恋仲に至ることはなかった。


 ・樫井かしい 優太ゆうた

 2年生、副部長。主に演技担当。

 かつては八宵と2人だけで活動しており、彼女には先輩としても女性としても深い愛情を抱いていたが、彼女のスタンスを尊重し伝えることはなかった。

 ミュージカルではウィングスのカッタを担当、複雑な心情を表現した。またイラストも得意であり、ポスター作成やメイクでも活動した。


 ・浜津はまづ 真子まこ

 2年生、演技担当。

 昨年後半から途中入部。合唱部の女子とも頻繁に会っている。

 ミュージカルではアクアズの族長でギラハの母でもあるハヅマを担当。


 ・伊綱いづな 空詠そらえ

 1年生、演技担当。

 中学までは合唱に取り組んでいたが、「自分でない何かになりたい」という興味から演劇部を選択。和海とは一卵性の双子だが、姉とは反対に中性的な立ち振る舞いを好む。ミュージカルではウィングスのライズを担当。


 ・渋永しぶなが 麻緒まお

 1年生、裏方担当。

 ミュージカルでは音響を担当。


 ◎教師陣

 ・松垣まつがき 奈々なな

 音楽科。合唱部の現顧問。音大を卒業したばかりで、感覚の近い部員たちともすぐに仲良くなった。賑やかで涙もろい。

 歌唱力も指導力も抜群であり、たびたび部員を魅了している。自分が受け持つ生徒には、のびのびとやりたい音楽を追求してほしいという想いから、陽子や結樹たちのスタンスも全面的に受け入れていた。


 ・九瀬くぜ 文香ふみか

 国語科。報道編集委員の顧問で、3年に渡り希和を指導してきた。


 ◎信野市立大学

 ・弦賀つるが 陸斗りくと

 情報工学部3年。雪坂高校OBであり、かつては合唱部の伴奏者だった。和可奈の彼氏でもあり、似合いのカップルとして周囲からの尊敬を集めている。本来は女児との双子として生まれる予定であったが、無事に生まれたのは彼だけだった。その事実が精神に大きな影響を与えており、和可奈とのすれ違いの理由にもなっている。

 HumaNoiseではギターと共にバンドメンバーのリーダーを務める。


 ・James Freddie Lucas

 国際関係学研究科の修士1年。出身はアメリカだが、研究者である両親と共に来日。日本語はかなり堪能。

 小さい頃に、日本からアメリカへ来た少年ジュン出会う。ジュンとゴスペルを通して交流するも、クリスチャンの音楽に彼を招き入れることを周囲から認められず、「いつか一緒にゴスペルを」と約束して別れる。

 しかし東日本大震災でジュンが亡くなり、失意の中でゴスペルに救いを見いだし、国や宗教を越えてゴスペルを歌う場所であるHumaNoiseの立ち上げを目指し、信野大や雪坂高校の学生たちと公演を行った。

 現在は学業で多忙ながらもHumaNoiseの活動を続けており、希和とはオリジナル曲を共に作る約束をしている。


 ・鈴海すずうみ 真結まゆ

 生活科学部の3年生。賑やかで面倒見がいい一方、山吹を溺愛していたり後輩女子に絡みたがったりと、可愛いモノには暴走気味。

 昨年のライブではキーボードを担当し、今年のミュージカルでも伴奏音源の制作を担当した。


 

 ◎学校外


 ・つむぎ

 和枝(=希和)の発表した二次創作小説に、賞賛のコメントを送ってきた人物であり、彼とウェブ上での文通を通して交流している女性。

 以前は学校で優等生のまとめ役という立ち回りをすることが多かったが、あるときを境に高校に通えなくなり、やがて中退。高認試験を経てから、晴れて大学への進学を決めた。

 

 かなりの読書家であり、言葉や物語への感性は豊か。最近では和枝の小説について彼と意見交換をするなど、同志のような存在となりつつある。また、彼が最も素直に内心を吐露できる存在でもあり、合唱部でのあり方にも深く影響を与えている。


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