第2考 吾、清河八郎に尽き

 それにしても吾に対する批評のなんとお粗末な事か。

策謀家、巨魁、まあそうであろうな。人望が無かった……。

ふん!主義主張と人望は相容れぬよ。

だが、袂を分けても彼等から暗殺されなかったと言うことは、伊藤甲子太郎とは違ってそうでもないと言うことよ。

まあ、私は幕府の禄を食む幕臣の体であって伊藤は朝廷のであったこと、壬生浪……新選組か?あれを裂いたことが悪かったんだろうなぁ…。

その頃には近藤の作り上げた物であったろうから。

しかし、倒幕云々はちょっと違うなー。

吾らは逃げ腰の幕閣に代わり、朝廷、天子様に仕える臣でもあるが、幕府の兵として攘夷を行い、面目を保とうとしていたのに…。

それをわからんとは何とも……。

まあ、先は吾が政の中心に座するのが目的ではあったが……。

でもこれで良かったのかもしれん。

大まかな歴史を見るに、この時分全ての藩を持ってしても夷敵に勝てたかどうか……。

怪しいところだ。

国の近代化。軍の刷新なくば夷敵に飲み込まれ木っ端の如く荒波に呑まれ今の繁栄は無かったかもしれん。

それくらい危ういと皆が思っていた。

中にはそれがわからず、エゲレスに喧嘩を売って負けた藩もあったようだが…、それでも物を知らないだけで馬鹿ではなかったなぁ。

でなければあそこから復権し国の中心を張れまいて。

そう考えると吉田松陰と言う男は中々の先生であったようだ。

しかし、歴史の雑学なる本を読み耽るに松陰と言う男はどこか抜けていたようだ。

勉学だけの変人とは得てして大小有れどそのような物なのかもしれないなあ。

吾の知る大丈夫や学問の徒はああまでおかしなのは……居なかった気がするなぁ。

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清河八郎著 歴史考察日記 野見宿禰 @uhati

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