新生活はマントヒヒと共に
【五話】大嶋君の初登校
~2020年3月30日 大嶋 蓮也~
―2019年、日本は世界でテロや、戦争が起こる中、『国民の安全のみを考えての政策』という極めて自分勝手な政策を打ち出した。
国土防衛のための兵器を導入、戦争中の国への支援を中断など、自国の利益だけをただひたすらに求め続けた。
この時政府が掲げた政策の一つに『首都分散』というものがある。まぁ名前の通りなのだが、日本政府は、首都を日本各地に分散させた。『首都に何か非常事態が起きた際の混乱を少なくするため』だとか。
そんな政策のおかげで日本の首都は東京に加え、熊本、鳥取、大阪、愛知、石川、新潟、青森になった。
そもそも、そんなもの首都といえるのかとも思うが、実際今言ったすべての都市が日本の首都としての役割を持っていて、『地方の活性化』『交通網の増加』『雇用者の増加』等のメリットが生まれている。まぁ、それに伴いデメリットもあるわけだが、これくらいが今俺が持っている日本についての最低限の情報だ。
今俺たちがいるのは日本の首都の一つ石川、設置されている機関は、防衛省本部、農林水産省石川支部。日本の軍事の要となる場所だ。
国立岩瀬中等教育学校
それがこれから俺と瑠奈が通うことになる学校だ。中学と高校の一貫性で、俺は高校一年、瑠奈は中学三年に編入生として入学することになった。国による生徒の金銭的援助、高い進学率を売りにしている。
本来であれば、国立岩瀬小学校からのトコロテン方式での入学、または、無いにも等しいような入試での入学が普通らしいが、俺たちは
「兄さん!急いで急いで!」
「はいはい、わかってますよ!」
「そもそも兄さんが寝坊するのが悪いんだよ!」
「しょうがないだろう、時差ボケはどうにもならないわ!」
今日は俺たちがこの学校の生徒となる日。
現在校門が閉まる10分前、登校初日となるその日から俺は寝坊をしてしまった。
瑠奈が作ってくれたトーストを口に突っ込み、玄関を出て、鍵を閉める。
自転車の後ろに瑠奈を乗せて住宅街を駆け抜ける。ペダルに足をかけおもいっきり踏み出す。次第にいまだ寝ぼけたままだった脳が目覚めてきて目に映る視界が鮮明になり、耳に風切り音が聞こえてくる。
普段から鍛えていたので、このスピードを保てばギリギリ間に合いそうだ。
次の曲がり角を左に、その次は直進、最後の路地を右に曲がればすぐに見えてくる……
~2020年3月30日 安藤正春~
―2019年、日本は世界でテロや、戦争が起こる中、『国民の安全のみを考えての政策』という極めて自分勝手な政策を打ち出した。
国土防衛のための兵器を導入、戦争中の国への支援を中断など、自国の利益だけをただひたすらに求め続けた。
この時政府が掲げた政策の一つに『首都分散』というものがある。まぁ名前の通りなのだが、日本政府は、首都を日本各地に分散させた。『首都に何か非常事態が起きた際の混乱を少なくするため』という理由で
そんな政策のおかげで日本の首都は東京に加え、熊本、鳥取、大阪、愛知、石川、新潟、青森になった。
そもそも、そんなもの首都といえるのかとも思うが、実際今言ったすべての都市が日本の首都としての役割を持っていて、デメリットとして『地価の高騰』『渋滞の多発』等が起きた。まぁさまざまなメリットもあるわけだが、詳しいところはまた説明しようか。
先ほど俺は『首都に何か非常事態が起きた際の混乱を少なくするため』という理由でと言ったが、もちろん日本政府がたったそれだけの理由で首都を分けるわけがないのはわかるだろう。
現在の日本の政策は『自国の利益及び安全を最優先』なのだが、そんなイカれた方針の国がその程度の安全確保で満足するはずは無い。
そこで生まれたのが俺の所属している組織『ガーディアン』である。
諜報、国土防衛、警護、等の仕事を行う政府の隠し刀。
15年に一度、親を亡くしたり、最小限の生活に問題のある新生児から選ばれ、最先端の軍事教育が施される。勿論政府でも一部の人間しか知らないことである。
そんな俺達『ガーディアン』が秘密裏に育成されているのが国立岩瀬中等教育学校。
突然、ガタンという音が聞こえた。どうやらようやく
始業式の始まる10分前になっていた。
大嶋兄妹の住むことになったアパートから50メートル先には俺の住んでいる部屋がある。ここからなら肉眼でもばれずに彼らの様子を観察できる。
『・さん!急・・・いで!』『はい・い、わかって・・よ!』『そ・・・・・んが寝坊する・が悪・んだよ!』『しょうがな・だろう、時差・ケ・・・・・・らないわ!』
玄関のベルに設置された無線つきの盗聴機からはノイズ混じりであまりよく聴こえないがしっかりと彼らの声が耳に響いてくる。
アパートを出る彼らに追いつくために急いで靴を履き、部屋を出る。
彼らにばれないようにしっかりと後ろを追いかけて監視を行う。自転車で走る彼らに追いつくようにやや速歩きになる。それでもスピードの出た自転車には追い付きそうにない。
学校に向かうための最後の交差点を右に曲がったところで見失わないように急いで俺も角を曲がってすぐに……
キキィーーーーーーーーーーーー
ガシャン
「は?」
突然
目の前で自転車が轢かれた。
大嶋君はマントヒヒ 風車 @meganesuraimu473
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