第2話「ミルクプリン」

なんだろう。


俺はこの時あまりに突然のことに気が動転していた。


急に現れた和服の小学生が、持ち主の忠告も聞かずにひたすら勝手にプリンを食べ続けているという状況がどうにも吞み込めなかったのだ。



マジか。


自分でも何が起こったのかは分からない。


しかし次の瞬間。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


気づいたら叫んでいた。情けないくらい裏返った声で。


「てめぇ人の家に勝手に上がり込んで、おまけに俺のプリンまで食べておいてその反応はなんなんだよぉぉぉ!!」


「わぁぁぁごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


先ほどまで強気だったそいつも急に小さく縮こまって泣き落ときたもんだ。



なんというか。


こういうのは不謹慎かもしれないが、半泣きのまま怯えて縮こまるそいつの姿は正直ちょっと可愛かった…。



しかし突発的に自分から叫んでおいてなんだが、あまりに怯えるそいつの姿が滑稽であったのと同時に、俺は何だかむしろ申し訳ない気持ちにもなってきた。


初めて見るオカルト的な存在とは言え、結局小学生なのだ。


なに小学生泣かせてんだ俺。


「悪かったよ…。おいおい、そんな泣くなって」


「泣いてへんし…」


急な関西弁。


いや、どう見ても目頭熱くなってるの分かるぞお前。


「だって…」


そいつは何か言いかけた。


「ん?」


「だって…。お腹空いてたんだもん!!仕方ないじゃん!!」


えぇぇぇ………。

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