花と血

目を背ければ枯れてしまう花は冬の終わりに咲くらしい

世界は雪に埋められてとっくにダメになってしまったが

どこまでも白い景色の果てでより一段と白い花のつぼみが春の訪れに怯え

内にまっかな音楽を響かせている

寒さに震えながらもじっと内蔵を動かす

ガラス瓶の欠片で切ってしまった指先から滴る液体をそっと啜る

口内に広がる味覚、辛さと苦さに驚く。自分の中に流れる血液が、自分の中のどこかから染み出した暗闇に汚されたこと、胸を焦がしたような忘れられない記憶に


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

プリアンプ @Nuuuiuuun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ