リベラル・ゲート
小萩
プロローグ
「目標は十二時時の方向っす。」
「分かった、出てきた所を畳み掛けよう。」
まだ奴らの姿は見えない。俺とターニャは生い茂っている雑草の茂みにジッと身を潜め、奴らが現れる機会を伺う。
彼女が詮索スキルで察知した敵は五体。右手には宝をしまう袋を、左手には血の付いた棍棒を、基本は個体ではおらず集団で行動をしている小人だ。
「・ ・ ・ ・ ・ パキッ。」
かなり近くで木の枝が折れる音がした。
緊張に包まれた中、額から汗が流れ、長剣を握る手からも汗が滲み出る。俺はいつでも戦闘出来る様に武器を構えた。その瞬間、奴らが草むらから姿を現した・ ・ ・! ! !
奴らとは "RPG "の雑魚モンスターとして絶対避けては通れない存在、ゴブリン。
発見と同時に俺達は一斉に茂みから飛び出し正面は俺が後方は彼女が、挟み撃ちの陣形で群へ襲撃を仕掛ける。
突然の襲撃にゴブリン達は身体が硬直して思うように動けない。
この絶好のチャンスを逃すまいと俺は先頭のゴブリンに剣先を向け一気に剣を振るう。
「せあっ! 」
上段構えから素早い一振り、肩から斜めに一気にゴブリンの胴体をズバッっと斬り裂く。
「ギャアアッッ! ! ! ! ! 」
痛烈な悲鳴を上げ胴体から大量の血を吹き出す、だが即死とは言わず瀕死に止まりまだ息はあるようだ。
トドメを刺そうと近づいた瞬間、最後の抵抗のつもりか棍棒を振り回し暴れ始めた。
「グルゥアアア! ! ! ! ! ! ! 」
右斜め、縦、右、左斜め、右、切り上げ、
ゴブリン程度の攻撃なら全てパターンが掴めている為一度も当たる事はない。大きく棍棒を振りかざした時、微かな隙が出来のを俺は見逃さない。
「はあぁっ! ! 」
下級ソードスキル《ソニックシュート》を発動させゴブリンを横腹を真っ二つに切り裂く。怖気付いたか仲間達がジリジリと後ずさる、だが俺は手を休めず次々と斬る、斬る、斬る、斬り刻む ! ! !
早くも四体のゴブリンを討伐している、残りはたたったの一体。
「良し、これなら行ける! 」
襲撃成功に喜んでいるのも束の間、目の前の敵に集中し過ぎてしまい、俺は背後を取られてしまった ! !
「クッ・ ・ ・! !」
攻撃を瞬時に剣でガードするがHPバーは徐々に減り黄色ゲージまで減少してしまう。
このままでは命が危ないと判断した俺は後方にいる彼女に助けを求めた。
「ターニャ! 援護を頼む! ! 」
「了解っす、行くっすよ! ! 」
後方から三本の矢がゴブリンに放たれた、が
本能的に手持ちの棍棒を盾に使い矢を防ぐ。
標的がターニャに切り替えられ、棍棒を持ち直し渾身のなぎ払いを打つ。
だがターニャはそれより先に地面を蹴り真上へ跳躍した、ゴブリン渾身のなぎ払いは見事に空を切る。
「これでも食うっすよ! 」
空中の不安定な体制のまま弓に手を掛け引き中級弓スキル《ファルコン・ショット》を発動。その鋭い一矢は雷撃の如くゴブリンの脳天をズバーンッと一撃で貫いた。
「ふぅ・・・これで討伐完了っすね。」
「ナイス援護だったよ、ターニャ」
ターニャの矢の技術は本当に凄いと思う、素直に援護の礼を告げる何やらにやにやとこちらを見ている。
「ですよね? 惚れても良いんすよ?(笑)」
成る程こいつも冗談が言える口か、なら俺は本気で冗談に答えよう。
「ははははは・・・・ありえん。」
この後ハートを本気で射抜かれそうになったのは言うまでもないかも知れない。
「さて、冗談も程々にして日も暮れ始めたし・・・帰るか。」
「そうっすね、帰りましょうか。」
宿屋の帰り道、海辺を通るのだがその辺りでピタリと足が止まる。正確には立ち尽くしていただろう。
夕日が沈む寸前、黄金に輝く境界線を俺はただただ見つめていた。
ここは剣を自由に振り回せる、魔法も自由に唱えれる、魔物だって存在する、"日本"には無い無限の可能性を秘めているのだ。
何処までも続く黄金の輝きに手を伸ばし、明日の希望に心を弾ませ手を伸ばした。
俺は今、夢にまで見た"異世界"で生きている
リベラル・ゲート 小萩 @koha_Gi_
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