食)No.54 タイのラーメン屋
タイ、特にバンコクには星の数ほど「日本食屋」があるが、出来ては潰れ、また出来る……という感じで、なかなか定着しないのが現実である。
その中でも顕著なのが日本の「ラーメン」屋である。ひっきりなしに進出して来ては撤退し、また違う銘柄のラーメン店が来る。
日本ではそれなりに名の通ったラーメンブランドでも、例外はない。
なぜ、そうなるのか?————。
答えは簡単である。一定時期、お客が付き、これからさらに伸ばしていこうとする頃になると、日本人経営者は「タイ人任せ」になるからだ。
決して、タイ人をこけ下ろしているわけではないのだが、彼らには標準化意識がない、のかもしれない。行きあたりばったり、なのは国民性なのか?(笑)
その日によって、微妙に味が違う。麺の硬さが違う。スープの温度も変わる……
一日として「同じもの」を作れないのだ。
これでは、「品質」に煩い日本人の舌には応えられない。タイ人のお客は騙せても、日本人は騙せないのだ。それでもタイ人客だけをターゲットにしている店であるなら価格勝負すればいいものを同じ価格で食わせようとするもんだから、日本人客は離れ、やがて時の遅早はあってもバンコク市内の高い店舗家賃下ではやっていけなくなって———撤退していく。
そんなもんだから、タイで美味しい(日本レベルの)ラーメン屋を探すのは結構苦労する。そしてそれなりに日本人の舌に応えている店は値段が高い。600円以上する。ただ、厨房の中を覗くと日本人が一人必ず居て、「品質管理」しているので、さもありなんとは思うのだが———。
ただ、面白いのは「品質ありき」と叩き込まれてきた日本人もこっちに来ると、その基準に狂いが生じるというか、だんだん乱れていく(笑)
これは食に関してだけでなく、全てのことに通じるのだが、こっちに来ると日本人もかなり「タイ化汚染」されてしまうのだ。
そして駐在員に顕著なのは日本に帰っても通用しなくなるくらい、タイ化汚染が進む御仁が沢山いるのだ、その結果また彼らはココに戻ってくるのだ(笑)
かく言う筆者もラーメンは大の好物なので、日本に一時帰国の折はお気に入りのラーメン屋だけでなく何軒もハシゴするということになってます。
ああぁ、タイ人よ、早く「基準」を守れる人になってくれ———。
(それは無理な話なんですけどね……だってタイだもんw)
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