第2話「となりのアライグマ」

アライグマ(その1)

 遠足に来る前から、覚悟はしていた。

 僕とあいつはもう一年以上のつきあいだ。いまさら、覚悟が出来ていない方がおかしい。カキ氷を一気に食べたら頭がキーンとするぐらい絶対にこうなる。それは予想していた。

 だけど上野動物園の表門を抜けてすぐ、一匹目の動物を見る前にいなくなるのは、さすがに予想外だった。

「あれ? 山崎くんは?」

 四年二組のみんなを見ながら担任のユリ先生が呟く。クラスが少しざわついて、すぐに全員の視線が僕に集中する。誰も驚いてはいない。いつものことだからだ。一年以上あいつとつきあってきたのは、僕だけじゃない。

「山崎係、行って来いよ」

 隣の男子が僕を肘でつついた。僕は山崎係じゃなくて図書係。っていうか、四年二組の係分担に山崎係なんてない。だけどいまさら、そんなことを言ってもしょうがない。

「へーい」

 適当な返事をして、みんなから離れる。ユリ先生が「須藤くん、よろしくね」と僕に微笑みかける。遠足中に一人で行動なんてしたら普通ならば叱られるところだけど、僕は褒められてしまう。山崎係の特権だ。別にそんな嬉しくはない。

 僕はざっと周りを見渡した。右に行けばパンダ。左に行けばツルとかカワセミとかの鳥類。そしてその近くに、トイレ。僕は迷うことなく左に向かった。

 山崎係の仕事は「団体行動中にいなくなった山崎優羽を連れ戻すこと」。だけどその仕事の中に「山崎優羽を探すこと」は含まれない。なぜならあいつは、いなくなったら間違いなくトイレにいるから。見つけるまでは簡単なのだ。問題はその後。

 男子トイレに入ると予想通り、僕より少し背の低い男の子が一番手前の洗面台で手を洗っていた。僕は男の子近くに寄って、声をかける。

「ユウ」

 男の子――山崎優羽が手を洗いながら首を僕に向ける。呼びかけて振り返っただけ。何でもないことに見えるかもしれないけれど、実はこれは山崎係である僕にしか出来ないとんでもない偉業だ。僕が山崎係に就任する前、ユリ先生が手を洗う優羽の肩を掴んで揺さぶって話しかけたけれど、全く反応してくれなくて心をバキバキにへし折られた。

「みんな待ってるぞ。早く行こうぜ」

「うん。もうちょっと待ってて。すぐ終わるから」

 手洗いの切り上げを催促すると、優羽はいつもこう言う。実際にすぐ終わることはあまりない。だけど今更そんなことに文句を言っても仕方ないので、僕はいつも適当にこう答えている。

「ちょっとだけだぞ」

 優羽の手洗いを観察する。掌を洗って、手の甲を洗って、親指から順番に指を洗って、そしたら掌の汚れが気になったのかまた掌を洗って、そうしているうちに指が汚くなった気がしたのか指を洗って――この繰り返しだ。分かりやすい終わりはないから、優羽が満足するまで待つしかない。力づくで終わらせることは出来るけれど、それをやると優羽はまたすぐにいなくなるから意味がない。

 優羽は、クラスのみんなから『ケッペキ王子』と呼ばれている。

 『王子』の由来は見た目だ。目が大きくて、鼻が高くて、睫毛が長くて、痩せていて、髪の毛がサラサラで、肌が白くて、つまりカッコイイから。僕の四つ上の姉ちゃんは「あんたを一カッコイイとするならあの子は最低八十八カッコイイあるね」と言っていた。僕はせいぜい三カッコイイぐらいだと思う。

 そして『ケッペキ』の由来は、もちろん潔癖症。色々なものを汚いと感じてしまう心の病気のこと。

 しつこく手を洗い続ける。他人の身体や持ち物に触ることが出来ない。体育は何も出来ないからほとんど見学で、落とした消しゴムを「拾ってくれ」と頼んでも困ったようにオロオロするだけ。そういう優羽のことをみんなは潔癖症だと思っていて、だからあだ名に『ケッペキ』という言葉がついている。

 それが間違っていると知っているのは、今のところたぶん、僕しかいない。

「お待たせ」

 手洗いを終えた優羽が僕に声をかける。洗いすぎて赤くなった手を無地の白いハンカチで拭く。昔、僕が優羽と初めて話した時に渡したハンカチ。

「じゃ、行くか」

 僕は優羽を連れてみんなのところに戻った。ユリ先生がホッと安心した顔になり、ようやく僕たちの動物園見学が始まる。まずはパンダ。ぞろぞろとみんなで連れ立って歩いていると、優羽が僕に話しかけてきた。

「ねえ、ケンヤ」

「ん?」

「アライグマはどこにいるのかな」

 僕は、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。

「見たいの?」

「うん。似てるから」

 優羽がこくりと頷いた。優羽はしつこく手を洗い続ける自分がおかしいということを自覚している。だけど変えられない。そういう病気なのだ。

 でも、アライグマは――

「いないよ」

 優羽が「えっ」と大きく目を見開いた。

「上野動物園に、アライグマは、いない」

 優羽ががっくりと肩を落とした。何か悪いことをした気分だ。でもしょうがないじゃないか。僕が決めたわけじゃないし。

「レッサーパンダなら、いるみたいだけど」

 代案を出してみたけれど、優羽は何も答えなかった。僕は気まずさから逃げるように空を見上げる。綺麗な夏の青空は分厚い雲に覆われていて、ほとんど見えなくなってしまっていた。


     ◆


 僕と優羽が仲良くなった理由はとても単純。家が隣同士だからだ。

 小学校から歩いて十分ぐらいにあるアパートの三○三号室が僕の家族の部屋。住んでいるのは僕と姉ちゃんと母さん。父さんは単身赴任で福岡にいる。一月に一回ぐらい明太子をお土産に買って帰ってきて、「とんこつ以外のラーメンが恋しい」と近くのラーメン屋さんで醤油ラーメンを食べて福岡に戻る。まあそれは別にどうでもいい話。

 優羽の家族の部屋は隣の三○四号室。だけど住み始めたのは僕たちより後。僕が小学校二年生の冬休みに入ったばかりぐらいの時、隣に引っ越して来た。だけど僕たち家族のところまで挨拶には来なかったし、たまたま見かけることもなかったから、僕は優羽のことも優羽の家族のこともぜんぜん知らなかった。ただ母さんが「隣、あんたと同じ年の男の子がいるみたい」と言っていたからそれぐらいは知っていた。三年生になったらクラス替えで一緒になるかもしれないと、ちょっと気にもしていた。

 だから冬休みの夕方前、外遊びから帰ってきて三〇三号室と三〇四号室の間で体育座りをしている男の子を見た僕は、すぐに「隣の子だ」と分かった。

 僕はその時、首のところがもこもこしたジャンパーを着て、端っこが少しほつれたマフラーを巻いて、毛糸の手袋までしていた。だけどその男の子は短パンに薄いシャツ一枚しか着ていなくて、とても寒そうだった。だからつい、聞いてしまった。

「寒くないの?」

 男の子がビクッと身体を大きく上下させた。そして体育座りをしたまま僕を見上げる。目がとても大きくて、なんか猫みたいだなと僕は思った。

「隣の子だよね。部屋、入らないの?」

 三〇四号室を指さして聞く。男の子が小さく首を横に振った。

「今は、入っちゃいけない時間だから」

 意味が分からなかった。学校の職員室じゃないんだから、自分の家に入っちゃいけない時間なんてあるわけないだろうに。

「でも、寒いだろ」

「うん」

「じゃあ入れよ」

「……無理」

 男の子がうな垂れる。僕はどうしようかと考える。早く暖かい部屋に入ってゲームでもしたいけれど、このままこいつを外に置いておくのもなんか気持ちが悪い。

「じゃあ、おれんち来る?」

 結局、放っておけなかった。男の子が顔を上げて、まんまるな目をさらに丸くする。

「いいの?」

「いいよ。中でゲームやろうぜ」

 ジャンパーのポケットから財布を取り出し、中の鍵で三〇三号室のドアを開ける。そして開いたドアを抑えて、コンクリートに座る男の子が立ってこっちに来るのを待つ。男の子はしばらく僕をじっと伺った後、ゆっくりと立って家に上がった。

「おじゃまします」

 男の子がもごもごと小さな声で呟いた。そしてスニーカーの前を留めているマジックテープをぺりぺりと剥がして靴を脱ぎ、リビングと玄関を繋ぐ廊下の途中にあるドアを指さして僕に尋ねる。

「あそこ、洗面所?」

「うん」

「借りていい?」

「いいよ」

 僕は何の気になしに答えた。男の子は「ありがとう」と言ってそそくさと洗面所のドアに近寄る。そして――

 ドアノブを、ダイヤル式の金庫を開けるみたいに中指と親指でつまんだ。

 男の子が指でノブを回して、ドアをほんの少し開ける。そして出来た隙間に身体を押し込むようにして洗面所に入り、中からドアを閉める。今まで見たことない斬新な開け方にポカンと呆ける僕の耳に、蛇口から水が洗面台に流れ落ちる音が聞こえてきた。

 ――え?

 洗面所にはまず洗面台があって、そこからお風呂とトイレに行けるようになっている。僕は男の子の目的はトイレだと思っていた。だけど聞こえてきたのは水が流れる音。つまり用事があったのはトイレではなく、洗面台。

 ――変なやつ。

 関わってしまったことをちょっと後悔しながら、僕も家に上がった。自分の部屋のベッドに防寒着を脱ぎ捨てて、机の上にある携帯ゲーム機を手に取る。すぐにあいつも洗面所から出てくるだろう。そうしたら一緒にゲームをやったり漫画を読んだりすればいい。そう考えながら一人用のゲームを遊びはじめ、いつの間にか、ゲームに熱中してあいつのことをすっかり忘れる。

 玄関から、姉ちゃんの声が聞こえた。

「ただいまー」

 僕はゲームから顔を上げた。そして枕元にあるデジタルの目覚まし時計に目をやる。僕が帰ってきてから、だいたい三十分ぐらいが経過していた。

 ――やべ。

 慌てて部屋を出る。リビングにいた姉ちゃんを無視して玄関に続く廊下に飛び出すと、ザーザーと水の流れる音が三十分前と同じように洗面所から聞こえた。僕の頭から、さあっと血の気が引く。

 ――まさか、死んでないよな。

 水を流しっぱなしの洗面台の前に、男の子が蹲って倒れている光景を想像する。僕はごくりと唾を飲み、洗面所のドアをゆっくりと開いた。水流の音が大きくなる。

 洗面台と向き合い、熱心に手を洗い続ける男の子が見えた。

 僕はホッと胸を撫でおろした。だけどすぐ、おかしなことに気づく。生きていたということは、あいつはここで三十分以上手を洗い続けていたことになる。なんだそれ。意味わからない。死なれたら困るけれど、死んでいた方が自然だ。

「なにしてんの?」

 背中から声をかける。だけど男の子は振り向かない。バシャバシャ、バシャバシャ、水遊びをするみたいに水流に手を浸し続ける。

 僕は男の子に近づき、洗面台を覗き込んだ。白くて細い指が流れる水の中で絡み合う。石鹸の泡が小さなシャボン玉を作り、ふわりと少しだけ浮かんで弾ける。綺麗だな。ただ手を洗っているだけなのに、なぜだかそう思った。

 やがて、男の子が手洗いを止めた。洗面所のドアノブをそうしたように、右手の親指と中指で蛇口の栓を摘んで回す。激しく流れていた水が止まり、男の子の手からポタポタと水滴が洗面台に落ちる。

「あのさ」

 僕は自分の親指と中指で「C」を作り、男の子に尋ねた。

「なんでドアノブとか蛇口とか、こうやって触るの?」

 男の子がさっと目を伏せた。長いまつ毛に視線を隠しながら、ぼそぼそと呟く。

「たくさん触りたくないから」

 なんだそれ。綺麗好きにしてもおかしいだろ。そう思った後すぐ、僕は男の子が三十分以上手を洗い続けていたことを思い出した。つまりこいつはおかしいぐらいの綺麗好きなのだ。なるほど。納得した。

 男の子が水の滴る手を半ズボンのポケットに突っ込んだ。そして「あれ?」と少し焦ったように呟き、あちこちのポケットをまさぐり始める。ああ、ハンカチないんだ。綺麗好きなくせに間抜けな奴。

「これ、使っていいよ」

 僕はポケットから白いハンカチを取り出し、男の子に差し出した。手のかかる弟が出来たお兄ちゃんの気分。だけど男の子はハンカチを受け取らず、もごもごと唇を動かす。

「でもこれ、僕のじゃない」

 イラッ。

 せっかくいい気分になっていたのに冷めた言葉を返されて、僕は苛ついてしまった。ちょっと借りるだけのハンカチなんて誰のでもいいじゃないか。ばかばかしい。

「じゃあ、やるよ」

「え?」

「今からこのハンカチはお前のものだって言ってんの。ほら」

 僕は男の子の目の前にハンカチをずいと差し出した。男の子が驚いたように目を見開いて僕に尋ねる。

「いいの?」

「いいよ。どうせ、保健委員のハンカチチェック用にたくさん買ったやつだし」

 僕が言い切ると、男の子はやっぱり右手の親指と中指で恐る恐るハンカチを摘んで受け取った。そしてすぐに手を拭きはじめ、両手を拭き終わった後、ハンカチを半ズボンのポケットにしまって恥ずかしそうにはにかむ。

「ありがとう」

 なんだ、笑えるのか。ここまで男の子の変なところしか見ていない僕はそんなことを考える。珍しい動物の研究をして、新しい生態を発見した気分だ。

「お前、名前は? 俺は須藤健也」

「えっと――」

 ピンポーン。

 呼び鈴の音が聞こえた。それからすぐに姉ちゃんの「はーい」という声。姉ちゃんは呼び鈴に返事をする癖がある。前に「インターホン取るまで返事しても聞こえないよ」と教えてやったらなぜか「うっさい」と頭を殴られた。

 母さんだったら呼び鈴なんか押さない。宅配便かな。僕はそう予想した。だけどすぐに姉ちゃんが洗面所のドアをバンと開けて、その予想を覆す。

「あ、やっぱり」

 姉ちゃんが何かに納得したように小さく頷いた。男の子を指さして、僕に尋ねる。

「ケンヤ。その子、隣の子?」

「うん」

「その子のお母さんが、うちの子がいませんかって聞きに来てる」

「あ、そうなんだ。良かった――」

 な。

 最後のたった一文字が、喉に引っかかって出てこなかった。男の子が細い眉を大きく下げて唇を小さくすぼめ、この世の終わりみたいな顔をしていたから。家族が迎えに来たのにぜんぜん嬉しくなさそうだ。安物のハンカチを勢いで貰った時はあんなにいい笑顔を浮かべていたのに。

「じゃ、来て」

 姉ちゃんが玄関に向かう。僕も後を追う。肝心の男の子は、のろのろと引きずられるようについてくる。

 姉ちゃんが、玄関のドアを開けた。

 くるくる巻いた髪の毛を茶色く染めて、すその広がったジーパンを履き、黒いジャケットを羽織った女の人がドアの向こうにいた。その後ろでは、肩ぐらいまで伸びた長い髪の毛をやっぱり茶色に染めた男の人が煙草をふかしている。寒いのに革ジャンパーの前を開けていて、胸元で金色のネックレスが冬の鈍い光を反射してキラリと輝いている。

「ごめんねー、世話んなって」

 女の人が僕に話しかけてきた。友達みたいな話し方。だけど間違いなく、初めて会う人。

「あいつ、変なやつだったでしょ」

 俯く男の子を指さし、女の人が薄く笑った。確かに変なやつだったけれど、なんだかそれをこの女の人の前で認めるのが嫌で、僕は強がる。

「別に」

「そう。なら良かった」

 女の人が屈んだ。お化粧でパッチリと開いた目が僕のすぐ前に来る。

「じゃああいつが独りの時、これからも遊んでくれる?」

 僕にはそれが自分の子を心配する母親の言葉じゃなくて、「これからもあいつを独りにするぞ」という冷たい宣言に聞こえた。あいつが外で膝を抱えてうずくまっている間、きっとあいつの家の中にはきっとこの女の人がいた。後ろで煙草を吸っている男の人もいた。

 あいつは独りだったんじゃない。

 独りにされていたのだ。

「――分かった」

「ありがと。いい子だね」

 女の人が立ちあがり、僕の後ろの男の子に「帰るよ!」と呼びかける。男の子がゆっくりと前に出て靴を履き始めると、ずっと黙っていた後ろの男の人がポツリと呟いた。

「じゃ、オレ、帰っから」

 男の人がジーンズのポケットに手を突っ込み、マンションのエレベーターの方に歩いていった。父親ではないらしい。じゃあ何なのか。難しそうで、あまり考えたくない。

 女の人は靴を履いている自分の子供を全く見ないで、ずっと男の人を見送っていた。そのうちに靴を履いたあいつが傍に来て、ようやく僕たちに向き直る。

「それじゃ、これからもよろしくね」

 僕と姉ちゃんにそう言い捨てて、女の人が自分の部屋に向かった。男の子もそれについていこうとする。だけどすぐ何かに気づいたように立ち止まり、くるりと振り返った。

「山崎優羽」

 いきなりすぎて、反応できなかった。男の子が大きく口を開く。白い息と一緒に、ゆっくりと言葉を吐き出す。

「やまざき、ゆう」

 ――ああ、そうか。名前か。

「またな、ユウ。今度は遊ぼうぜ」

 僕がそう言うと、そいつ――優羽は「うん」と嬉しそうに頷いた。それからパタパタと僕たちの前から立ち去る。姉ちゃんが玄関のドアを閉め、僕に話しかけてきた。

「あんた、いつあの子と友達になったの?」

「さっき」

「さっき?」

「うん。あいつが自分ちの前に座ってて、寒そうだから入れてやった」

「なんで自分の家に入らないの?」

「さあ。今は入っちゃいけない時間とか言ってたけど」

「ふーん」

 姉ちゃんが首を捻る。そしてピッと僕を指さし、得意げに言い放った。

「あんた、ハメられたかもね」

「ハメられた?」

「そう。あの母親は、あんたがあの子を自分の家に招待することを予想して、あの子を外に置いたの。これで、これからはあの子をあんたに押し付けられるでしょ。あんたの優しさが利用されたってわけ」

 言いがかりみたいな推理だ。だけど僕は「なるほど」と頷いてしまった。あの女の人ならそれぐらいやりそうな気がする。きっと姉ちゃんも同じように思っていて、だからこんな推理をしたのだろうけど。

「優しくしない方が良かったかな」

「さあ。でも先生が言ってたけど、男は優しくないと生きている資格がないらしいよ」

「女は?」

「かわいければいいんじゃないかな」

「じゃあ姉ちゃんダメじゃん」

 姉ちゃんが、僕の後頭部をパンと思い切り叩いた。

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