クリスマス

「メリークリスマス!」

「今年も『サンタさん』くるのかな?」

「…お前なぁ、わかって言うなよ」

「子供の夢を壊さないで!」

「初めてのクリスマスの時さんざん俺に問い詰めたくせに」


12月24日

子どもが待ち望むクリスマスだ。家ではチキンとか買ってきたりしていつもよりも豪華なご飯が出る。アイラが来てからはうちの両親からアイラへのプレゼントが届いたりもする。全く孫ができたような両親の対応にいつも感謝する。


「いただきます!」


アイラがいつもにまして美味しそうにご飯を食べる。俺はそんなアイラを見ながら大きくなったなぁと思ったりしながら料理を口に運ぶ。


「なぁ」

「ん?なぁに?」

「アイラ、おおきくなったな」

「でしょう!大きくなりましたよ!」

「ほんとに。初めてあったときなんかよりもずっと成長したな」

「にぃのおかげだよ」

「そう言ってもらえて嬉しいよ」

「これからもずっと一緒でしょ!」

「うん。一緒だ」


微笑みながらアイラと笑っいあって食べる食事というのはいつも幸せだな、と感じる。もっと成長していけばいつかは俺の手の中から出ていってしまうかもしれないし、ずっと一緒にいるのは無理なことかもしれない。でも今この瞬間が幸せで、アイラがここにいるということが証明される。


「だって、おにいちゃんが居ないといきてけないもん」


アイラは俺に依存しているのかもしれない。こちらの世界に来てからアイラは色々な人たちと出会ってきたし、友だちもできた。でも一番近くにいたのは俺だけだった。何より、何も知らないような真っ白な綿のような存在に色を付けていったのも俺だろう。それは自覚があるし、俺の勝手な思い込みでもないと思う。過去に何があったかは未だに詳しくは知らない。でもアイラ本人もこちらの世界で大きな変化をしているだろう。運命がネジ曲がったような。逢うべきではなかった者同士が出会って、運命を書き換える。ある人から見ればそれは悪いことだと言うだろうし、良いことだという人もいるかもしれない。結局、何が正しくて、今をどう生きていけばいいかなんてわからない。このアイラとの生活が正しいかもわからない。でも、元の世界へどうにかしてでも帰らせるほうが、少しネジ曲がっても、正しい運命を辿ってくれたのかもしれない。


俺は、アイラの運命を捻じ曲げているとわかっていても、手離す気になどなれない。


「…ごめんな」

「ん?なんて言った?」

「なんでもない」

「…?」

「ほら雪が降ってきたよ」

「わあ…!」

「ホワイト・クリスマス、だな」

「すごい!明日にはたくさん積もると良いな!」

「そうだな」

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現代転生と、その後。 方 久太 @HNK

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