mitochondria (第30回座談会公開済み)

エントリー#30


作品名   mitochondria

作者名   長槍

作品URL  https://kakuyomu.jp/works/1177354054882757146



作品のキャッチコピー、あらすじ

『AIの人知を超えた論理的思考能力に、人間が反論する隙は一切ない。』


これは国に代わって企業が国を治める、企業統治の時代に、SNSの言論空間で画一化しつつある世論に違和感を感じた一人の男のはなし。

AIの主張を鵜呑みにし、同一化する民衆。隔絶され亡き者にされた貧困層。人間があるべき尊厳と自由を取り戻すため、彼は世界を作り替えることを決めた。



作者からの一言、メッセージ


「書いているうちに3万字になってしまいました。申し訳ございません。それはさておき、映画虐殺器官から伊藤計劃氏のファンになりましたが、彼の記した文章は我々の行動すらも変えていく影響力のあるものなのだと感じています。


僕もまた彼の影響を受け、この企画に出会い、人生で初めて小説を書くことにしたわけです。本作品はAIと人間をテーマに、僕なりの未来予想を詰め込んだつもりです。存分にお楽しみください。」



座談会


ななせ「第三十回『座談会』を開始します!」


七瀬 「今回もスマートな入りだね」


ななせ「はい。今回も力作なので、ガッツリ語っていきたいと思います」


N氏 「うむ」


ななせ「エントリー作品は『mitochondria』。作者さんは長槍さん。この企画を通してツイッターで知り合い、カクヨムにアカウントをつくって参加してくださいました! そして、実はこれが処女作なんですよね」


七瀬 「それは本当に嬉しいことだね。こんなwebの隅っこで行われている企画に参加してくれるだけでも嬉しいのに、まさか処女作を投稿してくれるなんて。しかし、ここで良かったのかと言う気も……」


ななせ「三万字の力作ですからね……僕たちもしっかり作品に向き合って行きたいと思います」


N氏 「うむ。先を進めてくれ」


ななせ「物語は手記という形で語れます。時代は2050年代、とある日本人によって書かれた内容を解析したというものです」


七瀬 「手記形式とは珍しいね」


ななせ「そうですね。最近だと、あまり見ませんね? 古くは『ロビンソンクルーソー』、最近だと森見登美彦さんの『恋文の技術』。『死の家の記録』や『未成年』などを書いたドストエフスキーの得意としていた形ではあります。手記とは少し違いますが、手紙のやり取りを交わす形で物語を進める書簡小説といって形式もありますね」


七瀬 「『若きウェルテルの悩み』、『貧しき人々』だね」


ななせ「はい。そんな珍しい形で進んでいく本作ですが、物語の前半部分は、とある『企業』が世界を牛耳るまでの未来予測的な物語になっています。米中の冷戦構造からの本格的な戦争、両国の疲弊、『企業統治』の台頭いう歴史が、作者の知識と現実世界のシミュレーションと共に語られます」


七瀬 「『G.government社』だね。これは『グーグル』のパロディ的な会社だと思うんだけど、SFでは企業によって世界が統治されるっていうのは良くあることなのかな?」


N氏 「『攻殻機動隊』の『ポセイドン・インダストリアル』、『FF7』の『神羅カンパニー』など、アニメ・ゲームで見かける設定だな。『アーマードコア』シリーズでは、『国家解体戦争』によって企業による世界統治が行われている」


ななせ「かなり、ワクワクする設定なんですよね。この物語では、『G.g社』がビックデータやAI、SNSなどをフル活用して世論誘導を行い、『G.g社』に恩恵をもたらす思想を拡散しているんです。自分たちに不利な思想は速攻でグーグル八分ですよ!」


七瀬 「なんて恐ろしい社会なんだ」


ななせ「ちなみに、アメリカから始まった企業統治は東南アジア、日本、北朝鮮と広がって、『G.g社』によって朝鮮半島は統一されているという始末です……」


七瀬 「怖ろしい……」


ななせ「実際にあり得そうなシナリオなので、本当に恐ろしいんですよね。手記を綴る主人公は、そんな世界に少しの疑問を抱いていて、SNS上で知り合ったとある人物に会いに行くんです。しかし、主人公自身も『G.g社』に勤めていて、『G.g社』自体は有益な企業であり世界にとって必要だと信じているんです」


N氏 「主人公が会いに向かったカフカフという人物との間で交わされる『思想コピー』の論議は面白く――ある思想に触れ続けることで、その思想を模倣してしまうとういう現実でも十分起こり得ることを、AIが行ったらという『IFイフ』を語っている。そして、結論は――人類はAIには勝てない」


七瀬 「AIに人類は勝てない……」


ななせ「はい。人類はAIに勝てません。しかし、この物語はこのままAIに統治されるディストピアを描くのではなく、SF的アクロバットさで状況を打開します! それが、この物語のタイトルである『ミトコンドリア』に繋がってくるんですけど、このアクロバティックな展開に正直驚かされました。まるでグレッグ・イーガンのような跳躍を見せるなと」


N氏 「都市と人間の関係を『ミトコンドリア』に喩え、生物学の説明を駆使し――人類誕生からの四十億年の歴史までを語る様は、まさにSF的と言えるだろう」


ななせ「正直、かなりの知識量と発想力だと思うんですよね。前半の展開から後半、この展開に盛って来れるのかと! まさに力作ですよ。この物語がどのような解決を見るのかは、AIに人類が太刀打ちできるのかは、ぜひともその目で確かめてほしいなあと思います」


七瀬 「今こそ立ち上がれ人類」


N氏 「I'll be back」


ななせ「なんだか違う話に……」



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