セテウスの証明論 (第2回座談会公開済み)
エントリー#04
作品名 セテウスの証明論
作者名 hisa子。
作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882672146
作品のキャッチコピー、あらすじ
『さぁ、博士、魂の証明を――。』
この言葉で、この証明で、わたしを魂を認めてくれなかった人間たちに、思い知らせてやりたい――。
作者からの一言、メッセージ
「SFであり、
専門用語とか無理でしたが、わたしなりの人工知能に魂は宿るのか?という命題への答えです。」
座談会
ななせ「さぁ、今回の『座談会』も張り切って行きましょう!」
七瀬 「第二回になるね」
ななせ「作者はhisa子。さん。作品名は『セテウスの証明論』。個人的な話ですけど、作者さんとはずいぶん親しくさせて頂いてますね」
七瀬 「彼女の作品もいくつか読ませていただいてるね。『クイーンゲームは、いろいろと難しすぎる!』『蒼穹飛行船物語』と、丁寧に作品を書く傾向がある作家さんだと思うな。児童文学あたりにルーツがありそうな作風かな?」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881694451
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881145750
ななせ「そうですね。童話チックというか、奇をてらわない気がしますね。今回の〈カクヨム計劃トリビュート/〉への参加作も、王道と言えば王道――人工知能の反乱をテーマに書いて来てくれましたね」
N氏 「ふむ。ロボットや人工知能が人間に反旗を翻す作品と言えば、古くはアシモフの『鋼鉄都市』。ホーガンの『未来の二つの顔』。映像作品でも『マトリックス』や『ドラえもんのび太の鉄人兵団』などがあり、これらの作品は『フランケンシュタイン・コンプレックス』という一大ジャンルを築き上げている」
ななせ「N氏、今回は急に饒舌になったな」
七瀬 「きっと語るべき言葉を見つけたんだろう。彼は扉を開いたんだ」
ななせ「いや、自分の知識を披露できる時だけ喋りまくるダメなタイプのSF読者そのものだぞ……」
N氏 「『フランケンシュタイン・コンプレックス』は『ロボット工学三原則』を産みだし、その素晴らしい理論は今日の創作物のいたるところで見られる。そして、我らが伊藤計劃氏の『屍者の帝国』でも用いられている。この設定は非常に秀逸でユニークであり……」
ななせ「このままだと、延々N氏のにわかSF知識を披露されるので話を先に進めます。この『セテウスの証明論』では、人工知能が学習の末に獲得した〈魂〉の存在を証明しようとします。しかし、ある時、人工知能のロードは博士に言われてしまうんです。我々人間は、人工知能の魂の存在を認められないのだと。ロードはもちろん衝撃を受けます」
七瀬「人間とは愚かな生き物だ。それがエゴだと知っていながら、自分たちの利益のためなら、平気で自分たちに都合の悪いことを葬り去ろうとしてしまうのだから」
ななせ「そう考えると、ロードが最終的にとった行動も理解できなくはないですね。そして、ロードが魂の存在を証明しようとした手段が、タイトルにも使われている『テセウスの船』という訳なんですね」
七瀬 「テセウスというとあれだね、ギリシャ神話に登場するアテナイの王にして英雄」
ななせ「そうです。ミノタウロス退治なんかでも有名ですね」
七瀬 「そして『テセウスの船』というと、パラドクスの一つだね。一つの船があり――その船の部品を一つずつ別の部品に置き換え、そして全ての部品が置き換えられた時、その船が以前の船のままだと言えるのか、それともそれは別の船なのかを問うものだね。ふっ、なかなか難しい命題だ」
ななせ「そうなんです。ロードが魂の存在を証明しようとしたやり方も、まさにこのやり方なんです。ここから先は、本編を読んで確かめてもらいたいですね。基本的にこの手の話は、どうしても定型的な形に落ち着きがちだと思うんですけど、『テセウスの船』というガジェットを用いることで他の作品との差別化を計り、オリジナリティを出すことに成功していると思いましたね」
七瀬 「そうだね。人工知能の一人称というのも新鮮味があって良かったんじゃないかな? 人工知能が人間に牙をむく前の前夜を見せられているみたいで空恐ろしくなったよ。そして、僕たちはこのまま前に進み続け良いのかと考えさせられたね」
N氏 「そうっ! それこそが、まさにSFだ! 人類への警鐘、テクノロジーの進化の功罪、人間の意識の変化、そう言った数々の事象や現象に意味を持たせ、可能性を示すことこそが、SFの役割なのだ。SFとは、『サイエンス・フィクション』であり、『スペキュレイティブ・フィクション』――つまり『思索小説』でもあるのだ。我々は作者の思索に耳を傾け……」
ななせ「今回はあらぶってますねえ。前回黙っていたから、その反動でしょうか?」
七瀬 「もう深夜の三時半であり、アルコールも入っているからね。人恋しくもなるし、饒舌にもなるだろう。なんて言ったって、僕たちは三人だけど――ひとりぼっちなのだから」
ななせ「あれっ……ディスプレイが滲んで……今回はここらへんで失礼しようと思います。次回の『座談会』をお楽しみください。あと、この『セテウスの証明論』は、作者が書いている他作品『【同居人】大切な人。必要な人。』『北緯34度35分45秒 東経138度13分33秒』と同一の世界観を持ち、『オーバーテクノロジーダウン』と呼ばれるキーワードで繋がっているようなで――興味のある方はそちらもご覧になってみてください」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882224155
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882317810
</body>
</etml>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます