ゼラの記録

此処に記す

 ここ何年かで、リーネリアの歴史は大きく動いた。だから俺が体験したことを、ここに記していこうと思う。


 まずは、俺が産まれる前から幼い頃の間に起きた、世界の変動を大まかにまとめて記そうと思う。


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珠歴しゅれき1592年


 古代遺跡から『リピリータの記録』が発見された。


 リピリータ文明は大昔に滅んだ文明だが、世界中の至る所に「記録」として残されている。この時、初めて『リピリータの記録』を発見したために、世界中のニュースになったらしい。


 記されていたのは、『魔機ローデルト』について。『魔機ローデルト』は、魔法を作り出す機械であり、後に人々の生活を助ける物となった。俺はまだ産まれてなかったが、この出来事は幼い頃からしつこく言われてきた。人間の生活を一変させた出来事として、歴史に刻まれることとなったからだ。


魔機ローデルト』が人々の生活をサポートしてきたのは、紛れもない事実だ。しかし、人間「楽」を覚えるとどうなるかーー



 もっと楽したいと思うだろう、もっと使いこなしたいと思うだろう。『魔機ローデルト』が戦争の武器として使われるのも、必然的な事だったんだ。



珠歴1600年


 ある日突然、空に巨大な龍が姿を現した。人々は当然、驚き、戸惑い、混乱したらしいが、それから間もなく、再び『リピリータの記録』が発見される。


『創世神フィルヌア・ドゥルス。世界の均衡を維持する龍。

 彼は彼らのために、彼は世界のために。』と記されていた。


 現れた龍は創世神。人々は崇べき存在だと確信した。それからも時々姿を現すフィルヌア・ドゥルスに、人々が祈りを捧げるのは習慣となった。




珠歴1648年


 全人類が驚愕したあの事件。俺もよーく覚えているよ。


 人間は、『魔機ローデルト』の更なる発展を目指すために研究をしていた。その大半は、『生活用魔機ライフ・ローデルト』ではなく『戦闘用魔機ウェポン・ローデルト』の開発だった。その開発を行っていた国は『ガティル』。

 その『ガティル』が崩壊したのだ。


 創世神フィルヌア・ドゥルスの手によってーーーー



 人々の混乱は、初めてフィルヌア・ドゥルスを見た時の比ではなかった。無理もない、ずっと崇めていた神に裏切られたのだから。


 この出来事がきっかけで、『リピリータの記録』に対する信頼が、大きく損なわれる結果を招いてしまった。そして、宗教の分離が起きた。リルドワール教、ハンデット教、ムルティスの3つに人々は分かれた。





 ざっとだがこんな感じだ。一見これらの出来事は大事件のように思えるが、こんな物は序の口にすぎなかった。


 上記の話の続きは、これから詳しく記していくことにする。

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SOUL AND RECORD カルバ @_Carba_00

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