第2話 みかんも歩けば棒に当たる

私は次期大学四年生になる予定が不幸なことにもう一年歩まなくてはならなくなった三年生である。気心の知れた友人と呼べるものはいなく、私自身欲してはいない。なぜ、私が苦悩に満ち満ちた日々を送ることになったのかと言えば、原因は二年生の後期の突発的な海外留学であった。中途半端な英語力と引き換えにわずかな一年生のとき培った友人候補と単位をもれなく失った。帰国後、数週間で自我は崩壊し、メタメタに打ちのめされたあげく、無残に捨てられるみかんのアルベドと化した。栄養価がどれだけ高かろうとも美味しくないのだから、捨てられても文句は言えないだろう。アルベドとともに取るに足らないプライドが捨てられた。


みかんは歩かない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

果てない我が道を行く 苫米地之歩 @NOPPO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ