第十六話 オッケーなのよ

「次は、 Web サーバか」


 デファクトスタンダードは apache であたしもその例に漏れない。というか、 Unix 系 OS でわざわざ別のアプリケーションを使う必要性は感じない。 Windows 系だったら IIS とかの選択肢もあるけどね。あれ、最近使ってないけどコマンドラインで設定できたらもっと便利なのに……


「apache の設定は、httpd.conf さえバックアップできてれば何とかなる。オプション設定は、 conf.d とかもあるけどね」


 その辺りは、奇跡的にバックアップできてるから問題なし。


「いきなり丸ごとコピーだとややこしからっと」


 apache というか、 Web サーバの極々限定的な機能は「サーバ上のファイルを特定の URL に紐付けて外部公開する」というものだ。


 Unix 系より Windows 系の方が馴染みある人が多いでしょうから、そっちで例にすると、


C:\Web\meganekko.html


 ってファイルがあるとして、それを外部から


http://magenekko-xxx.com/meganekko.html


 って形でアクセスできるようにするのが Web サーバの基本機能よ。


 そんな訳で、


「サルベージした設定ファイルをそのまま置いてもいいんだけど……」


 せっかく綺麗な状態からセットアップするんだから、必要最小限のところを復旧していく方がいいかな?


「ブログをドキュメントルートに割り当ててたから……」


 ドキュメントルート、というのは公開する一番上の場所ルート。もうすこし噛み砕いて言えば、 http://magenekko-xxx.com/ に対応するフォルダがドキュメントルートって訳。


 さっきの例だと、


http://magenekko-xxx.com/meganekko.html


 が、


C:\Web\meganekko.html


 に対応してたから、ドキュメントルートは


C:\Web\


 になるってこと。


 CentOS とかの Unix 系 OS だとドライブの概念はない(※ディスクは特定のディレクトリに紐付くってぐらいに認識してればいいわ)ので、未設定のデフォルト状態では、


/var/www/html


 がドキュメントルートになる。


 あたしは、そこにブログのファイルが設置されるように設定してたから、各記事のファイルはそこに設置してる。だから、設定変更は不要。


「あとは、 CGI のファイルの設定ね」

 

 CGI というのは Common Gateway Interface の略。 Windows で言えば、コマンドプロンプトの実行結果を、 Web 経由で表示可能な仕組み、ってところかしらね。


 出力を HTML にしていれば、ブラウザで表示できるって寸法。


 哀しいかな、同業者でも勘違いしてる人いるけど、CGI=Perl とかは嘘だからね。使いやすいから Perl で CGI を利用するのが流行ったし、今でも活用されてるし、あたしの使ってるブログも Perl 性だけど、 Common Gateway Interface って技術は特定のプログラミング言語とは関係ない。


 C言語でだって、 Haskell でだって kemono_friends_lang でだって眼鏡チック言語でだって書けるわ。


 Windows のバッチファイルでだって、


echo "<html><body>hello world.</body></html>"


 って感じのファイルを CGI で動作するように設定しておけば、 hello world. のできあがりよ。簡単でしょ?


「だから、ファイルさえ置いて実行権限さえ与えておけばいいはず」


 サルベージしたファイルを、元のディレクトリに配置し、 CGI で実行されるように設定する。


 CGI 実行されるファイルは、 /var/www/cgi-bin の下がデフォルトだけど、設定次第でどこにだって配置できる。


 ま、基本は /var/www/cgi-bin で困らないからそこにしておいて、ブログ関連の実行ファイルは別途専用のフォルダに設置して、


「 /etc/httpd/conf/httpd.conf に設定すればオッケーなのよ」


 という訳で、サルベージしたファイルを設置して、 httpd.conf に設定を加えて、


/etc/init.d/httpd restart


 で apach 再起動。


「あ、あれ?」


 すんなり動くと思ってたブログが動かない。


 ま、こういう対応は慣れっこだけどね。




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