第十五話 思うまま書き滑らせて
気がつけば金曜日。
恙なく仕事を終えて、無事に週末に突入。
「さぁ、セットアップ三昧よ」
仕事でも散々やってるけど、顧客の都合とか自社の思惑とか気にせず、自分の思うがままにサーバをセットアップできるのはやっぱり楽しい。これは、仕事でやってるからこその楽しみかもね。ほら、プロの小説家が息抜きに趣味の小説書いたりしちゃうみたいなもの。
そんな訳で、思うままに設定を書き滑らせて思い描くサーバ環境を創っていきましょうかね。
作業のお供に缶ジュースのプルタブを開けて、PCへと向かう。
「まずは、 SELinux を disable 、かしらね」
SELinux というのは、セキュリティを高めるための仕組みで、ま、端的に言えば、個々の機能に対する強力なアクセス制限機能、ってところかしらね?
とはいえ、強力過ぎて思い通りにアプリケーションを動かすのにそれなり以上に手間が掛かることしばし。
設定は合っててプロセスもちゃんと動いてるのに外から繋がらない! ってときに原因となりがちなのがこの SELinux だったりする。
職業柄使い方は理解してるんで、時間さえ掛ければ適切な設定をすることは勿論できる。でも、正直、自宅サーバにそこまでするのは面倒臭い。ルータを噛ましてるし、サーバ側のファイアウォールでも必要十分なセキュリティの確保はできるしね。
「なら、サクッと止めちゃいますか」
vi /etc/sysconfig/selinux
ってして設定ファイルを開いて、
「SELinux=disabled っと」
enforcing となっていた部分を disabled に書き替えて保存。たったこれだけで無効になってくれるのだ。
「で、 reboot っと」
再起動して、設定を有効にする。
「じゃ、まずはデータベースの復旧ね」
MySQL はインストールしてあるから、空のデータベースを創って、そこにサルベージしたダンプファイルの内容を取り込んで復旧、って手順になる。
「 MySQL の root のパスワード設定しないと」
初期状態だと、簡単に root で MySQL に接続できてしまうんで、
/usr/bin/mysqladmin -u root password '乙女の秘密'
って感じで、パスワードを設定する。このやり方だと history にパスワードが残っちゃうから、
「ログアウトして、 history 消してっと……」
アフターケアが大事ね。
「これで、もうダンプからの復旧準備は整ったのよね。あとはファイルを scp でコピーしてっと」
そこで、気付く。
「あ、 sshd 設定してなかった」
scp は外部からの暗号化接続の仕組みである ssh が必要になるからね。
因みに、ここまでの作業は xen のホスト OS 上で
virsh console sabae
って感じで繋いでたのよね。
「まぁ、ただ動かすだけならすぐか」
openssh やら必要なパッケージを yum でインストールして、 root での直接接続を不許可にして、
「うん、繋がった」
メイン PC から putty によるコンソール接続に成功。これで、 WinSCP でのファイル転送も可能。早速、サルベージしたファイルを、セットアップした sabae サーバの /tmp/mysql_dump としてコピーする。
「後は、コマンド一つ」
MySQL のダンプから丸ごとリストアする場合のコマンドは、とても簡単。
mysql -u root -p </tmp/mysql_dump
だけ。
パスワードの入力を求められるから、 root のパスワードを入力して、
「さぁ、いけるかな?」
しばらく待つと、何も出ない。
「うん、復旧成功!」
Unix 系 OS は、成功したら何も出ないのが基本よ。この素っ気なさが、いいところ。
「内容を確認して……」
mysql -u root -p
で MySQL のコンソールに入り、
SHOW DATABESES;
と実行すると、
「うんうん。ちゃんと存在してるわね」
ブログのデータ領域としていたデータベースが確かに表示されていた。
use コマンドでデータベースに接続して、
SHOW TABLES;
を実行して、テーブルが全て存在することも確認出来た。
「成功しちゃえば、あっけないわね」
ものの数分でデータベースの復旧が終わってしまった。
ま、ダンプファイルさえあれば、こんなものよね。本当、読み出せて良かったわ。
さて、次はブログのプログラムの復旧ね。
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