ツチノコと不思議なダンジョン ~謎のサーバル…?迷宮~

雪白 瑚葉

ツチノコと不思議なダンジョン ~謎のサーバル…?迷宮~

「いやぁ~やっと静かになったか~」

 かばん・サーバルの乗るジャパリバスを見送り、迷宮のゴール地点の広場に戻ったツチノコは大きく伸びをして息をついた。


「ラッキービーストが反応するなんて変な奴らだったな…。あの『かばん』ってやつ…やっぱり…」

「あれーここはどこです?」

「うわ゛っっ!!なんだお前はっ!なんでここに居るんだっ!なんだコノヤロー!」

「スナネコです。僕、前にあった二人が気になって、後を追ってきたんです」

「いきなり話しかけるなよ!びっ…びっくり、するだろっ!」


「ところで、あなたは誰ですか?ここはどこですか?」

 ドギマギするツチノコをよそに、マイペースでツチノコに尋ねた。


「俺はツチノコだ。ふふん、ここはな。ヒトを楽しませるために作られたけれど、たぶん正式に使われる前に」

「でも、まあ、どこでもいいか」

「お前っ!人にものを聞いておいてそれかよっ!」


「あっ、それ。その、手に持ってるもの何ですか?」

「うん…これか?これはジャパリコインだ!」

「きれー…ちょっと貸してください。」

「慣れ慣れしいヤツだな!…ほんのちょっと…貸すだけだからなっ!」

「うわぁ~…本当にきれい…。あっ」


 つるり

     ころころころ…


 ジャパリコインを受け取ったスナネコは、手を滑らせてジャパリコインを落としてしまった。そして、ジャパリコインはころころと転がり、広場の壁のひび割れにスイと吸い込まれていった。


「お前ーっ!何やってるんだーっ!」

「ごめん。ほら、僕手に長い毛が生えてて滑りやすいから」

「お前のことは聞いてない!ジャパリコインだよ!ジャ・パ・リ・コ・イ・ン!」

「あっ、壁の向こうに行っちゃいましたね。でも…まあ騒ぐほどでもないか」

「俺のジャパリコインだよっ!このスキマだと壁の向こう側には取りに行けないぞっ!」

「だいじょぶです。穴を掘りますから」

「ここは貴重な遺跡だぞ!…穴は、俺が通れるくらいの大きさまでだからな!」


 *


「ふんふふん♪…できました」

 スナネコは壁のひびを、ツチノコがギリギリくぐれるほどの大きさまで穴を掘り広げた。


「ああ…貴重な遺跡が…でも…くそっ!ジャパリコインには代えられん!壁の中は…とりあえずセルリアンは居ないようだな」

 ツチノコは壁の穴を覗きこみ、ピット器官を働かせ安全を確認している。

「中はどうですか?コインありましたか?」

「ちょっお前っ!押すなよっ!押す…ぐわぁっ!?」


 ずででーん


 穴の向こうは段差のある大きな空洞になっており、後ろからスナネコに押されたツチノコはバランスを崩し、無様にも空洞の中に落っことされてしまった。


「いてて…お前ーっ!何すんだーっ!」

「ごめん」

「仕方ない…おい、とりあえず脱出するから長いヒモのようなものを…ってなんでお前までこっちに落ちてきてるんだっ!?」

「壁の向こうが気になったから…。僕、気になるものを見つけると夢中に」

「くそっ、これだからネコ系のヤツはっ…。とりあえずここから出るぞ!…おかしいな。全然外の臭いがしてこないぞ。」

「困ったです。まあ、出られなくてもいいか」


「そういえば、かばんのやつが『ヘンなポーズをした緑色の四角い看板』が出口だって言ってたな…。おいスナネコ!ヘンなポーズをした緑色の四角い看板を探すんだ!」

「ヘンなポーズってなんです?」

「…ええと、こうだっ!こんなポーズだっ!」

 ツチノコは赤面しながら、非常口の人のポーズをとってスナネコに見せた。


「あっちに通路があるです」

「見ろよ!恥ずかしいのにヘンなポーズとって見せたんだから、見ろよ!」

「もう一度、お願い」

「もういい!知らん!ついて来い!」


 *


 ほの暗い通路を行く二人。しかし行けども出口は見つかる気配がない。

「あっ四角い看板があるです」

「おぅ?確かに四角い看板だが緑ではないな…。やじるしと…描いてあるのは…たぶんこれはヒトの文字だな。ええと…『サーバ…ル…?』」

「ツチノコさんは記号が読めるフレンズなんですね」

「全部は読めんがな。『サーバル』って書いてあるってことは、ここはあのサーバルに関係がある迷宮に違いない!これはっ!大発見だぞ!」

「サーバルですか…なんとなく、ドジな迷宮な感じがしますね」

「この迷宮の謎を解くと、たぶん、サーバルの野生が解放されたりすごいことが起こるぞーっ!」


「やじるしの方に行ってみるです」

「聞けよ!…っと…俺を置いてくなよ!」


 *


「行き止まりです」

 先行したスナネコががっかりした声でそう言った。


「いや…これは扉だ。向こう側に…何かあるぞ。オウリャッ!」

 ツチノコは気合一閃、高下駄の蹴りを扉に食らわせた。すると…

「部屋があるです」

「寒っ!なんだこの部屋はコノヤロー!罠かっ!サーバルの罠なのかっ!」

「僕は平気ですが」

「俺は変温動物なんだよ!寒いのが苦手なんだよっ!」


「なんか四角い檻がいっぱいあって…中の板みたいな箱がなんかキラキラ光っててきれ~。」

「ななな…なんだここは…やたら寒いし、ぶおおーだとかぶいーんだとか聞いたことがない鳴き声が聞こえるし…。このチカチカ光る、閉じ込められてる物体は一体なんなんだ!?」


 ビーッ!ビーッ!


「うぎゃあああああああああッ!!!!???」

 突然檻の中の箱から鳴り出した警告音にツチノコが取り乱した。


「なっ、なんだこのうるさい鳴き声は!やんのかコノヤロー!」

「この檻の中から聞こえるです」


 トラブルハッセイ…サーバールームニトイアワセ…ケンサクチュウ…ケンサクチュウ…


「この板から聞こえるのは、ボスの声です」

「おい!ラッキービースト!どうしたんだ!?かばんとサーバルに何かあったのか!?おいスナネコ!檻を開けるぞ!」


 二人はガチャリ、と四角い檻を開けた。しかし、ボスの声は鳴りやまない。


「おいラッキービースト!俺の質問に答えろ!どうしたんだ!」


 ケンサクチュウ…ケンサクチュウ…ケンサ…ぷしゅぅ~


「ラッキービースト…お前…死んだのか…」

「光る板のしっぽが壁に刺さっていたから、とりあえず引っこ抜いてみたです。」

「おっ、俺は知らないぞっ!俺は何もしてないからなっ!」


「あっヘンなポーズをした四角い看板があるです」

「これだっ!これが出口のマークだ!…とっ、とりあえず外に出るぞ!ラッキービースト!お前を見捨てたわけじゃ…けっ、決してないからなっ!」

 そう。二人が迷い込んだのはサーバルの迷宮ではなく、ジャパリパークのサーバールームなのでした。なお、スナネコにコンセントを引っこ抜かれたサーバーは機能を停止し、ボスはかばんちゃんがフレンズに襲われた時の緊急事態の対応を検索できなくなってしまった。


 *


「寒かった…死ぬかと思ったぜ…。やたら乾燥してたしな…」

「僕は、平気です」

「しかしあれは一体何だったんだ…」

「ところでジャパリコインは」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」



「フェネック~なんであの暑さが平気なのだ~」

 (本編第6話のCパートへ続く)

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