第17話

「んで、はーちゃん。ごはん頂戴。」

「やっぱりそれが目的か。」

朔ちゃんのごはんに対する要求にナキ兄が笑う。

「涼子ちゃん今日朝早くに出かけちゃったんだもん…。ごはんこっちで食べれるかなあって…。」

「静さん迎えに来たのもだいぶ早かったですもんね。」

だいぶ慣れてきたらしい歩が、よもぎを朔ちゃんから受け取りながら笑う。

「朔ちゃん、良かったな。今日の昼は晴だよ。」

「やった!」

朔ちゃんは嬉しそうに、晴から皿を受け取る。当番が晴ということは、テキトーだが、早めにできることを意味している。それをみんな理解しているから、晴が無言でキッチンに向かった時点で、机の上を片している。

「飯は食わしてやるから、その代わり留守番よろしくな。」

「りょーかい!ふうちゃん、漫画借りていい?」

「いいけど汚さないでね?」

真冬は朔ちゃんが来てから苦笑をはがす暇もない。

「歩ちゃん、心配はいらないのがわかったでしょ?」

ナキ兄が歩にささやくと、歩は花がほころんだような表情を見せる。

「ゆーちゃん、楽しんできてね。なっちゃんも、はーちゃんも、あーちゃんもふうちゃんもみんなこき使ってさ。よもぎと一緒にいい子に待ってるよ。」

「そして、お前は歩のことは”ゆーちゃん”で落ち着くのな…。」

晴はギリ諦めきれないように、突っ込みを入れている。これはもう、晴の性分なんだろう。無駄とはわかっていてもやらずにはいられないというか。

晴はため息を一つついて

「奈月、愛希、真冬、歩。食い終わったら動けるか?」

「うん。」

「ハイ。大丈夫です。」

俺と真冬は小さくうなずく。

「あ、愛希。」

「なに?」

隣にいたナキ兄が思い出したように俺に小声で話しかけてくる。

「聞きたいことがあるんだ。愛希が多分一番詳しい。」

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