第8話 面接
とりあえデイサービスと小規模多機能に焦点を合わして、私は何十件かに履歴書・職務経歴書を送ることにした。結果的に5社から面接がきた。
最初の面接場所は都会の真ん中にある民間のデイサービスだった。見たところかなりの大規模なデイサービスではあり利用者さんも多いらしいが、どう見ても職員の数が足りないような感じがした。私は久しぶりの1対1の面接で緊張していた。
面接の部屋の外からは看護師さんや介護士さんらが何かと叫んだりしている利用者さんをなだめたりしていた。
ここにきて私はインターネットで見たデイサービスもう一つのデメリットを思い出したのである。
そう、たとえ要支援などの身体が弱くても認知症というものが老人にはあることに。
認知症・・・・・私個人この業界をインターネットや本で読むまで全然わからなかったが、簡単に言えば脳が縮小して今までできることが出来なくなったり、記憶障害を起こしたり、アルツハイマーを起こしたりする感じらしい。昔で言えばボケているという感じなのだろうが、最近そのように呼ばれているらしい。
とにかく認知症の人たちの世話は大変らしく、デイサービスではその日に応じてオムツを交換したり、トイレ介助でお尻を拭いたりする、いわゆる全介助と呼ばれていることもある。そして中には服の着方も忘れ、さらに悪いことは食事の仕方も忘れてしまうことである。そしてもっと悪いことはその人たちは自分が今どこにいるのかもわからずにいるので、しばしば徘徊したりするらしい。
そのような状態を家族が24時間一緒にいることは確かに辛いのだろう。夜中や昼間に寝ている時に出て言ったらそれこそ警察沙汰になり、不安ばかりの生活になるのだから。
多分今何かと介護士さんが動き回って介助しているのは認知症の人たちなのかもしれない。私から見ても最初入ってきたとき利用者さんの感じはいたって元気に見えた。それでもデイサービスに来るということはやはり認知症や精神面に何かあるのだろうか?
「それで、あなたは会社が倒産したから新しい業界でチャレンジしたいということですね」面接官=社長の人が仏頂面な顔で私に言った。
「はい、新しい業界でチャレンジし、人のために仕事をしたいとかんがえておりまして・・・」と私は少し恐る恐る言っていた。昔からそうなのだが、ほんとに面接というものが苦手である。私は新卒の時からそうなのだが、よく人見知りをする性格だった。だからかなのかよく他人と打ち解けるのに時間がかかるタイプと高校の先生に言われた。
「そうですか、まあ、いるんですよね。この不景気でほかの業界は面接にもたどり着けなくて。それでも介護業界ならばなんとかなるんじゃないかなーという新卒や転職組がね」と言われ、私は少しびくっとしてしまった。
・・・・・結果は不合格。やはり人手不足ではあるが、未経験で無資格の人間。それも30代の人間には厳しいらしい。
さすがにその日はやけ酒だった。正直甘かった。介護業界ならば簡単に受かるだろうと思っていた。
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