第9話 お祈りメールの嵐
お祈りメールの嵐が来るのは慣れてはいたが、この年でこれだけの会社からお祈りメールや不合格通知の紙が続くのは正直答える。それも大学時代ならば友達や家族やバイト仲間に愚痴などいえるが、今はだれにも相談できなく、そして一人で夜中にネコや犬の鳴き声と一緒にすすり泣いている自分がいた。
そして今日も面接が終わった。時刻は夕方の5時過ぎ。ポストを見たらいつものように選考結果の手紙が入っていた。私は恐る恐るその手紙をアパートの部屋に行って中身を見てみた。
・・・・・・結果は不合格通知。
夕方のアパートで一人で孤独にもとうとう耐えきれない時が来た。私はアパートから少し離れたコンビニでビールとつまみを買った。その行動がどのような行動なのかよくわからないが、何か物を買って食べたかった。
そのあと、ふらふらと都内にある近くの商店街を歩いていた。ネオンが付き始めたころである。会社員がその日の仕事を終えて電車に乗り込もうとしていたり、学生たちが部活動から帰っていたり、はたまた、主婦の人たちが遅くに夕食の買い出しをしに来ていたりと大忙しである。
私にはそれがうらやましかった。何かすることがある人間がとても輝いて見えた。今の私はいったい何をしているのだろうか?たまにそのような考えをしてしまっている自分がいた。
昔から少し考え込みやすい人間とよく言われていた。高校の時から進路はどうしようかと考えていた時も結局は決めきれず無難なところを選んだ。結果としてそれでよかったのかもしれない。だがしかし、いつも何かしらの気持ちの悪さが残っていた。そして就職活動の時も自分はほんとに何がしたいのかいつもよくわからなかった。結果として進路センターや家族からの提案を聞いて業界や会社を選んだ。
結局は30代のこの年齢までほとんど自分から決心をしたことがなかったのかもしれない。しかし、今回はかなり自分から決めた感じがする。だが、これも今までと一緒だった。何かしらの決断はいつもできる。だが、途中からほんとにこれでよかったのかどうかをいつも考えてしまう。
ほんとにこれでよかったのか?もしかしたら向こうのほうが良かったのかもしれない。それとも今のままでいいのか?それとも違うことをしたほうが良いのか?
一つの病気に近いと考えてしまうときがある。それほど人生というものは難しいと私は日ごろから考えてしまっているのかもしれない。
そんな時にいつも私がしている時は散歩であった。そして、散歩をしながら何かしらの気持ちの整理をしている感じなのだが、少し今日の不合格通知は答えてしまった。
やはり今回の選択は間違っていたのか?
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