第2.5話「死闘!レナートゥス!」

 闇の奔流を切り裂き、白銀に輝く刃が大悪魔の胸に突き立った。

 魔王軍四天王 《奸将》レナートゥスの口からどす黒い血が溢れ、彼の胸に剣を突き立てる勇者の顔へと滴り落ちた。


「これでトドメだ、《奸将》レナートゥス!」

「く……くくく……」


 勇者の言葉に、レナートゥスは嘲るような笑いを漏らした。


「何がおかしい!」

「くははは!認めよう、勇者よ!確かに貴様は俺を倒した!だが、それで何が得られる!」

「何が得られるだと……決まっている!貴様は人々を虐げ!搾取し!それを他の悪魔に提供し!」


 絞り出すような勇者の叫びにも、レナートゥスの嘲りは消えない。


「ふふふ……それの何が悪い……」

「そしてそれをウェブで公開し!炎上し!あまつさえ本来の顧客の悪魔にすら『炎上しているような場所で食事したくない』と低得点を付けられた!」

「その点に関してはこちらも改善の余地があったと思っている」


 レナートゥスは確かにそれは悪かった、という表情になった。


「『食屍鬼ぐーるなび』2点を付けられた人々の痛みを、思い知れ!」

「くくくく……ははははははは!愚かな勇者め!哀れみすら覚えるわ!」


 己の手が傷つくことも厭わず、レナートゥスは胸に突き立てられた刃を掴んだ。聖別された銀が大悪魔レナートゥスの身体を焼き、肉の焦げる嫌な臭いが辺りに充満した。


「貴様がボロボロになって倒したこの俺は!四天王の中でも最弱!」

「な、何ぃ!?」


 勇者の顔がさっと青ざめた。

 彼の全身は傷だらけで、魔力も使い果たしている。聖剣にこめられた力を開放してやっとレナートゥスを追い詰めることができたのだ。

 そこまでして倒した相手が、四天王の中で最弱と言われたのだ。動揺も禁じ得ないだろう。


「俺相手に全力を出すようでは他の四天王に勝つなど夢のまた夢……幸い、俺は重傷を負っていて回復にしばらく時間がかかる。こんなところで油を売るより今すぐ戻り他の四天王への対策を立てるべきではないかね?」

「……」


 レナートゥスはジリ、ジリと勇者から距離を取りながら更に饒舌に語りつづけた。


「四天王で最も長寿で深い知性を持つ 《智将》 ラインヴァルト、魔王の側近で戦闘力だけで言えば私の数倍以上である吸血鬼 《忠将》 ジークリンデ、そして私など足元にも及ばぬ残虐行為を行いしかも検証まとめ魔法wikiを作られないよう狡猾に立ち回っている 《邪将》 ゴッドホルト……くくく、既に死に体の俺にかかずらうより、かえって《Mahoo!知恵袋》で彼らの弱点について情報収集でもしたほうが有意義だと思わないかね?」

「……」

「さらにその上にたつ《魔王》は最も邪悪で……あっ!そうだ!実は俺の所業もすべて 《魔王》の指示によるもの!俺などタダの傀儡に過ぎぬのだ!どうだ憎かろう!憎かろう!くくく……それならば冥土の土産にいいことを教えてやろう。《魔王》は弱点ない無敵の存在だと思われているが、実は秘密の弱点が存在し《Mahoo!知恵袋》にそれに関する質問が存在してなんとこれには魔王軍四天王が回答しているから答えには信憑性がある!そうだ!俺を見逃せばその質問がどれか教えてやろう!そもそも俺は魔王の下についているのは不本意だったのだ!そう!今回もお前が俺の仲間にふさわしいか試していたのだ!だから俺を仲間にギャー!」


 なおも喋りながら逃げようとするレナートゥスに、勇者は無言で剣を振り下ろした。


「魔王……それに四天王か……俺に勝てるのかな……だけど、絶対に負けられない……この世界の……平和のために!」


 To Be Continue……

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今時の異世界ではネットリテラシーが必須スキル ロリバス @lolybirth

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