無題。

藤堂ハルカ

第1話 出逢い。

二人の出逢いは、会社の新入社員歓迎会を行った日。


幹事を毎年二年目のメンバーで行うという

暗黙の了解。


二年目だった私は麻耶と会費の回収+会社の偉い人の送迎係に任命されていた。


会社の近くの飲み屋さん。


ぞろぞろと集まってくる先輩や後輩たち。


後輩たちの中に彼は居た。


「はーい!新入社員の子達は会費いらないから

はよ中に入ってねー!」


他の人たちの回収をしながら声を掛ける。


ほぼ全員が集まり、歓迎会もスタート。


「皆さんお疲れ様です!

急にも関わらず沢山のお集まりありがとうございます!

それでは乾杯の音頭を鏡野SVよろしくお願いします!」


そっと立ち上がる少しふくよかな体型をした鏡野SV。


「皆さんお疲れ様です。今年も沢山の新入社員の子達が入ってくれてとても嬉しく思います。

今日はたくさん先輩や上司の人達と話をしてくださいね!それでは乾杯ー!」


「「「かんぱーーい!!」」」


グラスがぶつかり合う音がそこらじゅうで鳴り出す。


席を立ち、新入社員の子達ともグラスを交わす。


皆が他愛のない話をしたり、

ご飯を食べていたりしている。


最初、私は彼と言葉を交わすことはなかった。


先輩や同期の麻耶、小百合たちと沢山話をして

笑っていた。


中盤になると、新入社員の自己紹介が始まった。


6人くらいだったかな。確か。


あまり覚えてはいないのだけれども。


見た瞬間、私は「あぁ、私はこの人とお付き合いをさせて貰えたなら、絶対に長く続くんだろう。」


そうはっきりと感じたのを覚えている。


運命的な出逢いと言っていいのか分からないけれど、

この人と結婚するだろうと確信をしていた。


「皆さんお疲れ様です。林 祐一です。分からないこと、まだまだ沢山ありますが、一生懸命業務を行います。よろしくお願いします。」


確かこんなことをいっていたと思う。


紹介が終わり、各々席を移動したりと自由な雰囲気に

包まれていた。


私も上司のところへ行ったりしていた。


席に戻ろうとしたら、私が座っていた所に彼、

祐一が座って麻耶と小百合と話をしていた。


妙に盛り上がっていたのがとても印象にある。


彼は短髪でとても爽やかな好青年なのだが、

どうも大学時代は違ったという話をしていたようだった。


「えー??写真ないの?その当時の!」

小百合が言い出す。


「多分ありますよ!見ますか??」

祐一が携帯を取りだし、アルバムを探す。


「見たみたい!」


一生懸命探す彼。


話を聞くと、茶髪で今より髪が長く、パーマを当てていたそう。

写真を見つけ、私達に見せてくれた。

THE チャラ男 みたいに見える。

三人でチャラ男とからかっていた時、

お開きの時間となってしまった。


連絡先を聞きたいなと思っていたのに、

このタイミングで…

皆が帰る支度をしている時に聞いたら

流石に迷惑かな?でも聞いてたいな…なんて

考えている間に彼は他の新入社員たちの元へ行ってしまった。


この日はそのままなんの収穫もなく、

残念だなと思いつつ家へ帰ることになった。

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無題。 藤堂ハルカ @haruka-toudou

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