第13話

俺は質問を開始する。


「まず、貴女のお名前を教えてください」

取り敢えず名前を聞く。

「名前ですか?名前は...じゃあ、シャルロットで!」

「ん、今『じゃあ』って言いましたよね?」

「あ...えと...実は私名前を持っていなくて」

シャルロット(仮)は困ったように言う。


忘れてしまっているのなら仕方ない。

今日から君はシャルロットだ!


「あ、そうそう敬語は使わなくて結構です!」

「そうか。おーけー」


それでは、ここの事を聞こう。

「ここの事について、知っている事を全部教えてくれる?」

「は、はい」


教えてもらったことをまとめると、以下のようになる。


まずシャルロットについてだ。

シャルロットは、とあるカプセルの中で覚醒したという。

目覚めた時からこの体だったと言うから、シャルロットも目覚めてまもないのだろう。

シャルロットは目覚めて直ぐに、色々な情報が脳内に送り込まれた。


文字や話し方から、この世界の事まで。


カプセルが開き外に出てみるとそこには、薄暗い部屋が並んでおり他の人間が入っているカプセルが、2列に陳列されていたらしい。


カプセルが並んでいる部屋の外には小さな光が見えた為、シャルロットはその先を目指して歩いた。


しかし、外に出てみると目の前に広がっているのは土と空しかない、殺風景。


それでも希望を目指してずっと歩いてきた、という訳だ。



そして、この世界のことについてだ。


この世界は、非常に工業が栄えていた。

それもそのはず、この世界には半永久的に使用可能なエネルギーがあったという。


しかしある時、環境を汚してきた人間への制裁か、何の前触れもなくその無限エネルギーが爆発してしまった。


その威力は凄まじいもので、この世界にあるもの全てを、吹き飛ばし、焼き殺していった。


しかし、何故だかは分からないが、このエネルギー爆発事件を事前に予知していた人物がいた。


その人物が、何人かの人間を爆発に耐えることの可能なカプセルに入れ、残したという。



この話を聞いたスピリはとても驚いた顔をしていた。


「あ、それ、ボクとアイツがやった事だ...」


何言ってんだコイツ?


「ん?何言ってんの?お前」

俺が尋ねると、俺に耳打ちをしてくる。


「いや僕の前の契約者がね、神に『ある世界』を救ってほしい、と言われたらしいんだ」


うん。いきなりだな。

後、神って本当に存在するんだ。少なくともこの世界には。


「んで、その『ある世界』ってのが、ある無限エネルギーがもう少しで爆発して壊されてしまう世界だったの。でも、解決する術が見つからなくて。少なくとも、っていう気持ちで十数人の人間と無限に湧く水源、植物の種を残したんだ。」


へぇ...

なんかスケールのでかい話である。


「因みに前の契約者はケイのステータスの数億倍だったよ」

スピリは意地悪く言ってくる。

が、無視する。


「つか、なんでその事をシャルロットは知らないんだよ」

「いや、なんでだろ?カプセルのプログラムのミスかな…」


いや、人の命がかかっている話しである。「ミス」で済まされる話では無い。


「あ、あの、先程から何を話されているのでしょうか…?」


シャルロットが首を傾げ、聞いてくる。


「いや、ちょっとね...アハハ」


流石にこの話をシャルロットにするわけにはいくまい。


「ところで、カプセルがあった場所ってどのくらい遠いの?」

俺はシャルロットに聞く。

「歩いて半日くらいのところです」


結構近いな...


歩いて半日くらいならなんとか行ける。


「そこまで案内してくれ」


俺は取り敢えず状況確認も含めカプセルがある場所に連れていってもらうことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死して異世界へ 腹痛人間 @yabusamesetu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ